寝ぼけた顔をした遊歩道を駅まで歩く。木漏れ日はやわらかく鳥のさえずりはやさしい。贅沢な朝を過ごしていると思う。一時間半後には何度となく頭を下げなければならないとしても。できればここに溶けてしまえばいいなんて考えても、たぶんぼくには液体は似合わない。融点はものすごく高いに違いないが、夏だから少しはその温度に近づいているのだろう。やがてぼくが歩道を流れはじめ、その反動でぼくの時間は流れを止める。しあわせってたぶんそのような現象をいうのだろう。
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日記のようなそうでないような散文を書きます。筆名は小川未明の作品から。これまで書いた韻文は slib.net/a/26091