七月十五日

ふるいはさみ
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公開:2024/7/15

時間の流れがゆるやかな朝の窓から夏が聞こえてきた。暑さにも寒さにも弱い身体のなかに暑さや寒さを求めるこころがあってぼくは、いつだってアンバランスな受身しかできないでいる。

窓から見える道路は海につながっている。でも海に行くことも行かないこともできる。選択できるって残酷なことだと思う。あらゆる選択肢が存在するならば、常に選ばれるものと選ばれないものが生じる。でも本当にそうなのだろうか。

きっと、僕が行った先が夏であって、どこにも出かけなかったらこの部屋が夏である。ただそれだけのことだ。

@furuihasami
日記のようなそうでないような散文を書きます。筆名は小川未明の作品から。これまで書いた韻文は slib.net/a/26091