夏の夜のドライブ。いつも走る農道は信号も交通量もほとんどなく気持ちよく走ることができた。その頃乗っていた車にはエアコンがなかったので窓全開にして風を楽しんでいた。突然ラジオから流れてくるブルガリアンヴォイス。その当時少しだけ話題になっていた歌声がわずかながらの清涼をもたらす。平成初期、真夏の夜の夢とは無縁に生きていた頃。ただ運転していただけなのに強烈に記憶を刻んだ一瞬。
今年の夏、ぼくはぼく自身を楽しむことができるだろうか。新しい記憶を刻むことができるだろうか。エアコンのある車は快適すぎると思う。