七月二十三日

ふるいはさみ
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公開:2024/7/23

夏の本質はノスタルジーだ。刺さりつづける日射しや身体に纏わり付く湿度がスイッチとなっていつかのあの日を呼び起こす。なにを呼び起こすかは人によって違うけれど、誰もがおなじ仕様でおなじ形状のスイッチを持つ。

夏の表情が年々変化している。気象的に、気候的に。凶暴な顔をし始めている。それでもなお人々のスイッチはおなじタイミングで入ることになる。人それぞれのあの日が立ち上がる。白昼夢に伴う音楽はいつだって消え入りそうに流れている。

@furuihasami
日記のようなそうでないような散文を書きます。筆名は小川未明の作品から。これまで書いた韻文は slib.net/a/26091