六月二十一日

ふるいはさみ
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公開:2024/6/21

電車の窓から見る青空が痛いので目を背けた。そうすると視界に映るのは行き場のない重力である。ぼくもまた誰かの目にはそのように映っているに違いない。誰もが苦々しく抱えているその重力をどうしたら解き放てるのだろう。

青空に白い雲が映えるのは、自我の存在をまだどこかで信じているから。空からしてみれば空でありつづけるほかに存在のあり方はない。雲があっても消えたとしても。

@furuihasami
日記のようなそうでないような散文を書きます。筆名は小川未明の作品から。これまで書いた韻文は slib.net/a/26091