八月十六日

ふるいはさみ
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公開:2024/8/16

裏稼業というと不法行為のイメージがあるかもしれないけど、ぼくにとっては星の愚痴を聞くのがそれにあたる。平然とすましているように見える星々にだって、不満とか葛藤などは普通にある。それを根本的に解決することはぼくにはできないけど、話をきいてあげることはできる。知られていないけれど、星は案外おしゃべりなのだ。

星の悩みは人間のそれと大きく変わらない。恋愛だってするし嫉妬だってする。名誉や地位にこだわる星もあるし星間関係で悩む星もある。ぼくはひたすらその話を聞くだけ。助言なんてできないから、ただ寄り添うだけ。それでもひとしきり話を聞くとたいていはホッとした表情で感謝される。

裏とはいえ稼業なのだから当然報酬をいただく。ぼくは夢というかたちでそれを受け取る。朝には消えてしまう報酬だ。

@furuihasami
日記のようなそうでないような散文を書きます。筆名は小川未明の作品から。これまで書いた韻文は slib.net/a/26091