02月08日(日)

futatabinidoto
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公開:2026/2/8

 通りすがりの方、共感してくれてありがとう。

 あなたもひょっとするといま、開票速報を見ていろんな気持ちになっているかもしれない。それが喜ばしいものか、苦しいものか、わからないけれど、信じる方法が同じでも違っても、あなたがあたたかく眠れる今夜を祈っています。

 今日は投票へ行ってきた。この家に引っ越してから何度めかの投票だけれど、当日に行くのは二度目。近所の学校なのに、私の家から行こうとすると、絶妙に入り組んだ道を行かねばならないので前回は道に迷ってしまった。わりと昔からある町だから、なのだろう、綺麗に四角く整備されていない。近くの神社仏閣が古い建物のまま残っていることを鑑みるに、長く戦火を逃れていた町なのかもしれない。

 生まれた町の歴史もそれほど知らないが、暮らしている町の歴史となると、いよいよ知らないものだ。

 祖母は戦争の話をしたがらない人だった。

 八月になると陰鬱とした面持ちでテレビ番組の特集を眺めて、低く絞り出すような声で、戦争のことは思い出したくないと言っていた。だからあまり直接、祖母から、戦時下の話を聞いたことはない。

 私の父は三人きょうだいの末っ子だったが、祖母が長子を生んだのはまだ戦争が終わらないくらいの頃で、同じ病室にいた妊婦さんたちの中にはお乳が出なくなってしまった人もやはりいたので、その子たちの分も祖母がお乳をあげたものだ……というのが、ほぼ唯一の頻出エピソードだった。祖母ははっきり言って豊満な乳房を持つ人だった。それで嫌な思いをしたこともおそらくは、若い時分にはあったのではと今になって想像するのだが、孫の私から見る限り、祖母は「肩が凝って仕方ない」と言いながらもその大きな胸が自慢らしかった。

(いま思うと当時に自宅で産婆さんを呼ぶのではなく、病院で出産していたというのは、めずらしいことだったのではないだろうか。もうそれがメジャーになっていた頃なのだろうか。祖母の話は「またそれか」と思って聴いていたからわからない。私の記憶違いもあるのかもしれない。それともご近所で同時期にご出産されたお母さんがいた、という話だったのかしら。)

 私はそもそもさまざまな理由で祖母のことがひどく嫌いなので、おばあちゃんの話をもっと聴いておくんだったなあ、などとは思わないのだが、しかし祖母の目に、今の世の中だとか、今回の選挙だとかは、どのように映るのだろうなあと思わないでもない。

 そのアカウントで政治の話をしないでよ、みたいな説がある。

 あるいは、自分と考え方や見ているものの違う人に対して、つい馬鹿にするような発言をなさる人もいる。

 自分がすきな人、すきなものを作る人が、自分とは考え方が違ったり、強い言葉を使ったりしているのは、とてもショックなことだと思う。私もそうだ。作品と作者は別だよ、と言われるけれど、それを上手に切り分けるためには、人間はどうにも人間に興味を持ちすぎている。

 私と近い考えだな、と思う人であっても「こんなことも解らないなんて」的な言葉を発信されているのはすごく苦しい。誰も敵じゃない(そう考えると選挙「戦」という言い回しも微妙な気がしてくるのだが)、私たちは私たちが楽しく暮らせるようでありたいのだから、考え方が違うならそれはなぜ?お互いに見ているものが違うのかもよ?から始めないといけない。

 ううん、むずかしい。正直、私は政治のことはすっごく不勉強だ。熱心な友人知人からの聞きかじりで成り立っていると言ってもいい。だけど友人が、自分が生きていくために必死になっているのを見たら、私もせめて何かを見聞きし考えないといけないんだと思えてきた。ほんの2~3年のことだ。だから私もカジュアルに、投票行ってきたよとか、戦争や差別はいやだなあとか、いわゆる政治っぽいアカウントではないところで言ってみたりする。私がそういうことを少しでも考えているんだとわかったら、私の友人がまた、あの時の私みたいに少しだけ考えてくれるかもしれない。

 他方、すごく変えられるとは思わない、人の考えを人が変えられると思うなんて傲慢じゃないかと思うところもある。だけど何かの拍子に変わることだってある。

 せめて投票率の高い国を親戚のちびたちに残してやりたいので、みんな投票に行ってくれたらと思っている。もちろん、こうした投票権が保障される国のままであってほしいという意味を含む。それから、もうちょっと理不尽な理由で投票できない人が減るようであってほしいと思う。私が生まれた町は雪深いから、この季節に豪雪の中を投票所へいかなければならない人のことを考えると、ほんとうに苦しい。

 そんなこんなで、カジュアルに投票の話をしてみる。これもまた私の日常の中の一イベントであり、積読が増える一方だとか、食事の味付けをしっぱいしたとか、目当てのものが百均で見付けられなかったとか、そういう暮らしの中の一トピックスだからだ。寒いときについ寒いとつぶやいてしまうように、あたりまえのことだと思われてもつぶやきたいから、綴ってみる。