やさしい人たち

冬野
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夜明け前に雨音で目が覚めたのでしばらく外を見ていた。土砂降りの雨を見ると子供の頃やった遊びを思い出す。

それをやっていいのは寒くない時期、ものすごい土砂降りのときだけと決めていた。きょうだいと2人でシャンプーとトリートメントを持ち意気揚々と外に出て、雨に打たれながら仁王立ちで頭を洗うのだ。今思うと何が楽しかったのか不思議だけれど子供の頃はそれが楽しくて仕方がなかった。目を閉じているきょうだいの頭にシャンプーをプッシュし続けて、泡が途切れない!と慌てている様を見るのも好きだった。

そういえばまるっきり同じことを数年前友人と旅行に行った時もやったのを思い出してしまった。なんかこのシャンプー泡立ちがすごすぎない?と温泉で慌てていた友人。優しいなあと思う。私が同じことをされたら間違いなく怒るか仕返しをする。

きょうだいも友人も、身の回りにいる人たちはみんな優しく、心が広い。私はそれに甘えながら今もシャンプーをプッシュし続けるようなことばかりしている。心の広さはたぶんペットボトルのキャップくらいだ。いつか誰かに怒られる日がくるんだろうなあとぼんやり考えてはいるけれど。

@fuyuno
世界のどこかにいる水仙