私は人よりも努力が少しだけ得意だ。
それは別に私が並外れた我慢強さだとか粘り強さを持っているということじゃなくて、単純に私は人よりも持ちものが少なく貧しいだけだ。
注意を逸らしてくる色々な心を持っていないから、サボって何かをしようとはならない。何もせず休みたくなる時はあるけれど。
きっと多くの人は私には想像もつかない色々な欲望を豊かに心に蓄えて生きている。だからその上で私の真似をしようとすると、貧しいからできたことをなぞるわけだから、やっぱり失敗する。
それを私は怠惰と呼びたくない。心が豊かだから、色々な欲望を満たさなければならないから失敗するのだとしたら、それを悪く言えるだろうか?
そうして考えるに、人がする努力は、やっぱり今の当人にとって一番望ましい内容と配分におのずとなるんじゃないだろうか。その結果努力が少なくても、それは怠惰じゃないだろう。
勉強にしたって、学生のうちに勉強に身が入らない人は多いけれど、勉強によって得られるものを今遊んで得られる楽しみと比べて高く評価していないのなら、どうして勉強できるだろうか。
だから、努力ができることが手放しで良いとは思わない。私も人並みに欲望の形を豊かに持っていたら、きっともっと頑張らなかったろうから。