今日ボーリングに行った時、隣のレーンにマイボールを持って、服装もボーリングチームみたいな服を着ているおじさんが居た。掲示板に表示されてるスコアもすごく高い。
でも、なんだか少し様子がおかしかった。
腕と足が強ばっていて、歩き方もかなり変。でも投げたボールは綺麗なカーブを描いてストライクを沢山取っていた。
障害者の人だった。
脳梗塞かパーキンソンか何かで体が強ばって動かないんだと思う。自分たちが来るまでずっと投げていたのに、来たら投げるのを辞めてしまった。
最初、俺は「病気になっても趣味があって、その上こんなに上手く投げれるなんて素敵だな」と思ってた。
でもなんか違和感あった。おじさんはボーリングが出来ることを素敵でもなんでもないと思ってるんじゃないかって思えてきた。
もしかしたらおじさんは「元気だったらもっと上手くできるのに」「体が動けば、こんなに変なフォームで投げずに済むのに」そう思ってるのかもしれないと思った。
投げるのを途中でやめてしまったのは、自分の投げてる姿を若い人達に見られるのが少し嫌だったんじゃないかと思った。
素敵だと思った俺の最初の感想は、当てつけのような綺麗事かもしれない。
なんだか心がすごく複雑だった。
俺が素敵だなと思うことが、本人にとっては根本的に素敵でもなんでもなく、辛い現実だとしたら、その素敵って凄く残酷なんじゃないかと思った。
ボーリング場でその人はすごく立派に見えた。でも家に帰ったらどうなんだろうとか、1人だったりしないだろうかって、少し跳ねた髪の毛から色々考えた。
50代で介護を受けるって本当にキツいって介護士をしていた自分には少しはわかる。まだまだ出来るのにって毎日が悔しく辛い。
あの人はボーリングでストライクをとって幸せだったんだろうか。
嬉しい半面で辛かったりしないだろうか。
企画とかデザインとか、自分は本当にその人の目線になれていたのか、考えさせられた。
願わくばもう一生会わないあの人が、一日でも長くボーリング場に通える事を願ってる。
ちょっと心が苦しいけど、マイボールはめちゃめちゃピカピカだった。かっこよかった。
俺はボーリング下手だけど、ボーリング良いなと思いました。
〜雑談〜
本当は今日は日記を書かないでおこうと思ってたんだけど、目を瞑ってたらあのおじさんを思い出して、今日のことが記憶から消えていくのがすごく寂しかった。
おじさんにボーリング教えてもらえばよかったって少し後悔すらある。話しかけてみればよかったって。きっと喜んで話してくれたはず。
俺がストライクを取った時、嬉しそうに見てくれてたのが何より嬉しかった。
せめて今日見た景色を残しておきたいと思って日記書いた。
助走ほぼ無しでスコア197のあのおじさん、凄かったな、幸せであって欲しい。
おやすみ。