自分が明確に大人になったと感じた時は、少なくとも成人式でも大学の卒業式でもない。自分が世間全体から見てそこまで「優秀」な部類ではないと自覚した時だ。学生の頃は特に勉強が出来るタイプではなかったが、謎の万能感に溢れていた。そこそこ口は回るタイプだったのでその場凌ぎに困ったことはなかったし、それっぽいことを言ってそれなりに周囲からの中心でいることもできた。社会人になると求められるものが少し変わる。細かいものを正確にこなせる人が求められる。ユーモアよりも誠実さが求められる。思えば学生時代の自分は失礼さを引き換えに笑いを取っていた、それは通用しない。そうやって優秀な同世代が少しずつ増えて、自分は「優秀」な側ではなかったことを自覚した瞬間が。私が1番大人になった瞬間だと思う。