愛別離苦の話

gento
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公開:2025/10/24

‪ここ最近の寒さに耐えかねてモコモコ羽織を引っ張り出したんですけど、その羽織に白い長い毛がついていました。

家族だった犬さんの毛です。

記憶の破片に残ってる犬さんは2匹いてどちらも白い犬でした。

ふわふわで、あったかくて、とても犬くさいのです。(犬だから当然です)

玄兎的“人間の顔のパーツで可愛くない部位”一、二を争う鼻と顎がサイコーにプリティーな犬さん。羨ましいですね。

最初に虹の向こうに行ってしまったのは後から来た子。

なんでも喜んで食べ超重量級に育ったマイペース犬さんで、家族で食材を求めて買い物に出かける度に入れたはずの頑丈なケージから脱走し遠吠えしまくってたというすごい寂しがりの愛嬌120%の犬さん。

最後に虹の向こうに行ってしまったのは最初に来た子。

ドックフードの中で嫌いなものだけ綺麗に残しほっそり体型をキープしてたわがまま犬さん。ちみっと噛んだりタックルしてきたり人間が飲もうとして用意した飲み物を勝手にグビグビ飲み変なしゃっくりをして満足気でした。

そんな犬さん2匹が居たんです。

今はもう過去形です。

愛別離苦という言葉があります。

愛する人や物と別れる苦しみ。生別も死別どちらも含むそうです。愛する人、大切な者との別れはどうしても辛い。ただでさえ辛い別離が玄兎は一度目はドカ鬱期とぶつかり二度目は解離障害てんやわんや期にぶつかりました。(何となく薄々察してはいましたがこの体に搭載されてる心というかメンタルの基本スペックがヘボいのかもしれませんね。)

玄兎という生き物において遭遇した死は人間以外の動物さんだけです。

「いやいや玄兎さんや、その歳まで生きてたら普通親戚の葬式で身近な人の死くらいは経験するじゃろがい。」

と、仰る方ももしかしたらいらっしゃるかと思いますがないんですよねこれが。玄兎親族を両親とその両親(玄兎にとっての祖父母)と妹(叔母)しか知りません。(あと母方のひいおばあちゃん?記憶が酒粕すぎて当てにならない…)父方の祖母はともかくとして母方一家は前向きに見ても玄兎の存在を疎むとまでは行かなくとも表立ってうちの孫/姪ですなんて明るく言えないと思ってます。表に出さないでくれただけか玄兎の記憶が丸ごと無くなってるかのどちらかなだけで多分きっと恥寄りの存在。だから他の親族も知らないし多分知られてない。従姉妹も居るらしいけど叔母達から見た玄兎の存在問題児すぎてたまに話しかけてくれたとて叔母達にとっても良い思い出とか皆無でしょうし従姉妹達も玄兎の存在知らんと思います。それでええです。そのまま知らずにのびのび生きててもらえれば幸いです。

そんなこんなで玄兎にとって今まで経験してきたのであろう家族の死は人ではなく動物なのです。

人間より遥かに可愛くて愛情深くてふわふわな愛しき生き物。

人間の使う言葉は喋らないけど、人とのコミュニケーションを上手くできなかった幼き日の玄兎にとっては喋らずとも何かしらの感情を行動に起こしてくれてこちらを察する能力のある、関わっていて自分に対し情けなさや不甲斐なさを感じず辛くならないただただ優しいだけのもふもふ達。

玄兎の記憶では母方の祖父母の家で母とお世話になっていた時に白いうさぎさんが居たんですけど。

なんでも玄兎の母の妹が学校で引き取り手がなかったら殺処分だかなんだかで学校のうさぎを可哀想だと連れ帰ってきたものの誰も面倒を見なかったので母がうさぎ二匹の面倒を見てたようなんです。

話を聞くに幼き日の玄兎も野菜の端切れや苺を食べさせたり、母がケージを掃除してる間にうさぎさんを抱っこしてる役目を任せてもらっていたりとちょっとだけ面倒見ていた記憶は欠片程はあるのにそのうさぎさん、いつの間にか居なくなってるんですよね。もう一匹に関しては見た目の情報もないんです。死んだという時期に関するであろう部分がまるで無い。

何も情報がないうさぎさんは最初に虹の向こうに行ってしまったのでしょう。

もしかしたら幼き日の玄兎が初めて、“自分が関わった生き物の死”を体験したのかもしれません。ショックだったのかもしれないし同時期に記憶の大掃除で自動的にまとめて消されてしまったのかもしれない。本当に綺麗さっぱりない。本当に実在したのか疑うほどに。

記憶が欠片程はあるうさぎさんはなんだかいつの間にか居なくなっていました。お世話に参加させてもらった記憶はなけなし搾りかす程度にはあるのに。本当に、いつ居なくなっちゃったの?って感じの。

その当時の祖父母の家では犬さんも居まして、こうさぎを自称する玄兎が本当にこうさぎだった頃に寝てる玄兎にくっついて一緒に寝てたらしい子守りお姉さんな犬さん。

彼女の死は「玄兎!犬ちゃん死んじゃった!」の誰かしらの声で知り母の家族に交じって厚かましくも一緒に号泣した…という記憶が残っています。

すごい段階を経てる。

そして冒頭の犬さん2匹の話に戻るのですが、段階を経た影響か歳をとった影響か覚えてられる範囲が増えて(それでもやっぱり記憶はアバヨ🤚するので人よりはないんですけど…)悲しいには大きな波が3つあるんだなとモコモコ羽織を引っ張り出して犬さんの毛を見つけた時に頭に押し寄せてきて。

①一緒に過ごしてきた家族のもう死んじゃうかもって頃の具合が悪そうな時期

②死んですぐの時〜しばらく

③居ないのが当たり前になってしまった時

に悲しいの大波が来るよねと。

最初に虹の向こうに行ってしまった犬さんは前触れもなく急にだったので①はなかったんですけどドカ鬱抱えてる時期にそれがぶつかったので玄兎の中のひび割れくもりガラス状態でギリ耐えてた諸々が盛大に割れちゃった。結果、人生累計数回目(推定)の主人格消滅というか死亡というかを迎えましてここから分担して日常生きる羽目になります。まだ続いてますよ?ウケる。

対して最後に虹の向こうに行ってしまった犬さんはフルコースで悲しみの大波来ました。①も②も③も全部辛い。種類が違うけど全部辛い。一番辛いのは犬さんなのに。

今思えばこの当時、結構前任者(元主人格)の残滓が残っていた&全然元気に心身共にドカ鬱引きずっていたので「自分はこんなに死にたいのにまだ生きててなんで生きててほしいこの子が死んじゃうの?」って滝のように玄兎をぶちのめしてきて、 悲しめば悲しむほど「もっと優しくしてあげたかった」とか「家にいた人間が自分じゃなければもっと幸せだったろうに」とか未練がましい残滓が無限に湧いて出てきてマジで引きずるし、ふとした時に思い出して泣くことになる。脳内の住人置いてけぼりで。(玄兎、頭と心と口と体の接続全部上手くいってない初期ボディを引き当ててしまったせいで頭が動いてないのに体だけ涙ボタボタ零し続けてたり思ってることと真逆のことを口が勝手に動いて好き勝手喋ったりとあったので昔から全然こういうこと起こる。もういい歳なのに全然治る気配ない。改善は多分してる…蟻の歩みくらいの速度で)

①は苦しんでるのを変わってもやれず取り払ってもやれずただ見守るしかなくその間に心を蝕んでくる死なないで死んじゃうの?やだよとひたすら向き合うことになる。生きた心地がしないのはココ。

②は当然悲しい。命の温かさを失って硬く冷たくなって。御骨になってしまえば「嗚呼もう本当に居なくなっちゃったんだ、もう二度とはあの姿で玄兎の日常に居てくれることはないのだ」と理解して諦めがついてしまう悲しさ。身体中の水分持ってかれるのはココ。

③は①や②程の初手から二郎系‼️みたいな重量級ではないものの年月が経つにつれ蓄積され続けるしんしん降り続ける雪みたいなものです。春が来るまで待つしかない。居ないのが当たり前になるなんて、居たのが当たり前を享受してきた身には辛すぎる。

割と早い段階で、夢で犬さん2匹と笑ってる前任者が走って向こう側に行くのを固定カメラで見るような夢を見たのできっと二匹と一人で虹の向こうに行ったんでしょうね。楽しくやってるといいね。

さて最後に、

生きてる人間が死者を思い浮かべる時

死者の国では生者に思い出された死者にはお花が降り注ぐ

或いは咲き誇るという話が玄兎は好きなのですが

ここまで読んでくださった方々にも思い浮かべる大切な存在居ましたか?

お花、降り注いでいるといいですね。

お花、囲うように咲き誇ってるといいですね。

思い、届いているといいですね。

@gento
文字を打ち出したら長文になってしまいがちな こうさぎを自称する玄兎の文字打ち場です。心ゆくまで文字を編む場所。占星術の話も出てくる時がある。