22歳の時に魚介類が食べられないって言ったら、よくわからんおばあさんに「日本人とは思えないわ」と言われたことがある。魚介類を食べることが日本人のアイデンティティなら、私はまったく日本人じゃなくていい。でもフグとカニは食べる。魚の匂いがしないし、ポン酢に合うからな。
私は食べることが苦手だ。できれば何も食べずに生きていたい。ドラゴンボールに出てくる仙豆みたいなのがあれば、仙豆ジャンキーになること間違いなし。食べることより苦痛なのは、食に興味がある人たちのグルメトークに巻き込まれることだ。「〇〇の××がおいしい」「△△は※※すると無限に食べれる」みたいな話が始まると、居心地が悪い。私は柿ピーなら無限に食べることができると思う。自己ベストは6袋。今後の記録更新に期待。
いつも同じお店に行って同じメニューを頼み、同じメーカーのポン酢ばかり買っていると、私もまるで食にこだわりのある人間のように勘違いされることがある。気にするな、ただの偏食だ。新しい味に挑戦したりするのがめんどくさいだけだ。嗚呼、この世の食べ物がぜんぶ旭ポン酢味ならいいのに。
でも、人との食事は好きだ。家族と食卓を囲み、恋人と新しいお店を見つけ、友達と行ったことのない国料理に挑戦する。そこに好きな人がいれば、食べることは全く苦しくない。むしろ幸せな時間になる。私はこの幸せな時間を食べて肥えてゆくクリーチャー。
先日、仕事が忙しすぎて午前11時ごろPCの前で涙が出そうになった。辛い。今日は午後9時半まで仕事の予定がある。やだ。やだ。もうそんな元気ない。あたい、帰る。向かいの席の同僚がランチに付き合ってくれた。料理が運ばれるまでの間、お行儀よくマスクを着けて待っていた。シーザーサラダにターキーが乗ってるやつとキャベツのスープ。向こうはチキンのなんとか。いつもの他愛のない話で、食事がダラダラと進む。お会計のころには、心はとても軽くなっていた。私は同僚とのこの幸せな時間を食べて、午後も働くことにした。
記事作成日:2020年9月17日