2025.12┊︎今年読んだおすすめ本2025

𝗀𝗇𝖼
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公開:2025/12/24

8月から読書録を付け始めた

それ以前の記憶はまったくない 月2.3冊以上は読んでたのに

記憶にないので記録がある8月以降に読んだ本の中で面白かったものを紹介します

リンク先は国会図書館の書籍情報ページです

作品の確信的なネタバレはないけど、あらすじとかは書いてます


【方舟 | 夕木春央】 【十戒 | 夕木春央】

みんな勧めてる同著者の傑作ミステリー小説

別作品だけど間を開けずに読んだ方がおすすめ

どちらも珍しい設定のクローズドサークルの話

タイムリミットが迫る地下施設、外部と連絡取れるのに脱出できない孤島…両方嫌すぎシチュエーションでハラハラさせられる

特に『十戒』はかなり奇抜な方法で閉鎖空間を作り出してて面白かった

犯人容疑者被害者全員やることが多い…!

『十戒』読了後は公式のネタバレ解説サイトも必見

※『方舟』→『十戒』の順番で読むことを強く推奨します

【BUTTER | 柚木麻子】

これもおすすめされまくってる話題作

そんなに評判なら読むかと気軽に読んでみた 流行は雑に乗ってみても案外楽しい

主人公の女性記者は、とある女死刑囚(首都圏連続不審死事件の被告がモデル)と面会していくうち、彼女の言動に翻弄されて心身や人間関係にも影響が出てしまう…んだけど、ホラーサスペンスではありません

ジャンルは社会派ヒューマンドラマなのかな そんなに堅苦しい話ではなく、もっと身近で苦しくも温かい物語だと思う

シスターフッドというよりは、女性たちによるいち人間としての自立や生き方を描いていると感じた

エピローグもこれまでの主人公の歩みが無駄にならない伏線回収がお見事だった

あと女死刑囚が新潟出身という設定なので、よく知っている固有名詞がたくさん出てきて面白い

私も佐渡バターご飯食べたいな…

【或る集落の● | 矢樹純】

タイトル通り、P集落という地域にまつわるホラー短編オムニバス

全5話構成もちょうど良くて読みやすい

今一番おすすめのホラー小説です!

どれも不気味というか気色悪くて生理的嫌悪を催す良いホラーだった

作中に登場する謎単語の意味が他の話でわかる仕掛け、ぞっとして最高~

一応謎解きパートもあるけど、怪異は怪異のままですべては暴かれない

やりすぎない塩梅が好みだった

書籍版の装丁が凝ってておすすめ

【やまのめの六人 | 原浩】

なんか1人多いやんけ怪談の現代版ダークホラー小説

男5人が交通事故から目を覚ますと、どいつか知らんけど増えてる!?助けてくれた地元住民なんか変!?!? というある意味正統派の定番設定

登場人物クズしかいないし、サクサク死んでくので異様にテンポが良い

クズばっかだから別に胸とか痛まず、楽しくホラーを読める

増員怪異はわりとすぐ分かるけど、ちゃんと一捻りあって良い読後感でした

【フロスト・クラック ~連続狙撃犯人の推理~ | 時雨沢恵一】

本文すべてが通話形式の対話体小説という地の文がない作品

過剰な説明台詞にならずに情景描写できる技術が圧巻すぎる

読み手を退屈させない説明文って本当に難しいので、さすがベテランの表現力!

銃の描写がやたら緻密なのも『キノの旅』の作者だなあと楽しかった

こちらの作品は全文無料で読めます!!

【昭和女たちの食随筆 | 木村衣有子 編】

昭和に活躍した女流作家たちの食にまつわるエッセイ集

27人それぞれの文章が個性豊かで味わい深い

お気に入りをいくつかあげると、近所のおじさんににわとりを解体してもらう様子を子供の飾らない表現で書いた『にわとり』が面白かった

夫の愛人の家に乗り込む『妾宅』も好き 愛人に渡そうとパチンコの景品の味の素を押し入れに隠す旦那、クソせこくてしょうもないよー!

巻ずしを独り占めする贅沢に憧れる『巻ずしと豚まん』も良かった 結局別のことに使ってしまうのめっちゃわかる…

【百年の時効 | 伏尾美紀】

今年のマイベスト本選べと言われたらこれ!!

昭和に起きた一家惨殺事件の真相を3時代に駆けて追う刑事たちの物語

本筋以外の事件や登場人物も多くて、大河ドラマを見ているような激動のクライムサスペンスだった

でも無意味に描写されているわけではなく伏線回収も綺麗に決まっている

昭和で聞いた証言の真偽が令和になって実証されるとか、絶対胸が熱くなりますよ

550ページの超大作なのに文章自体はとても読みやすかった

馴染みのない昭和時代でも突っかかりなく読めるのですごい

【寝煙草の危険 | マリアーナ・エンリケス】

海外幻想小説部門のおすすめ

女流作家のスパニッシュホラー短編集です

スパニッシュホラーはスペイン語圏のホラー小説

浅いパブリックイメージでスペインは陽気な雰囲気の国だと思っていたが、当事者の視点から描かれる様相はまったく違う

貧困、女性差別、ストレートチルドレンの問題など、鬱屈とした重苦しい空気が作中に漂っていた

内容は人コワ霊コワどちらもあるけど、ほとんどすっきりしない終わり方

ヤク中ジジイが住宅街のど真ん中で嘔吐脱糞した挙句、文句言ってきた近隣住民を呪い散らかす話が好き 理不尽すぎるやろ

次作『わたしたちが火の中で失くしたもの』は翻訳があまり好みではなかった

新作『秘儀』は今作と同じ訳者なので、時間が出来たら読むリストに入れてる

【漫画】

他にも読んでるけど新刊が出たらすぐ買ってるおすすめ漫画

第一話の試し読みリンクも載せておきます

【煙と蜜 | 長蔵ヒロコ】(既刊6巻)

大正時代の軍人と少女の年の差結婚を描いた作品

当時の生活様式や食事などが緻密かつ流麗な作画で描写されており、これだけのために読んでほしいくらい素晴らしい

軍人さんたちで庭整備する話と鬼まんじゅう作る話が好き

年齢差カップルだけどロリコン描写的なものはほぼないはず

現代的倫理観だと18歳差がきついのは本当にそうです…

【日に流れて橋に行く | 日高ショーコ】(既刊11巻)

明治末、経営難の老舗呉服店を継ぐことになったイギリス帰りの三男坊が主人公

こちらも時代考証や背景・小物描写がすごく凝っているし、読んでいて純粋に勉強になる

「女性の自立」がテーマのひとつだと思うので、主人公に想いを寄せない女性たちがたくさん出てくるのも良い(人間としては好かれている)

男男関係も勝手に深読みする分にはめちゃくちゃあります!!

相棒ポジのツンデレ美男、貴族のパトロンおじさん、幼馴染で部下の眼鏡男、不仲の既婚者次兄など、主人公にクソデカ感情向けてる男たちもいっぱい!!!!

商業BLオタクが同作者の『憂鬱な朝』は読んだ方がいいって何度も言ってたし、死ぬまでに読みたい

【ある設計士の忌録 | 鯛夢】(既刊8巻)

寺生まれではない建築設計士のS先生が不動産や建築関係のオカルト案件をつよつよ除霊パワーで高額解決してく実話風怪談集

基本的に語り部(先生の同業者の工務店さん)や先生周辺に被害はないけど、後味悪かったり人間きもこわすぎる話も多いのでちゃんとホラー感も楽しめます

好きな話はほのぼの?怪異遭遇体験談の『山の神さま』とそりゃ化けて出るわの『廃旅館』


まとめ

日記などの記録を見ると、8月から今日までで小説30冊読んでるらしい

数の勝負ではないが意外と少なかった

面白くて読みやすい本は2日もあれば読めるけど、なかにはクソ読みづれえ~って文体の本もあったりで苦戦した

特に海外文学は翻訳に好みが左右されがち まあここら辺は運だよなぁ…

私はほぼ図書館ユーザーなので、毎週のように地元の図書館に通っている

平日夜のド田舎図書館でも、他の利用者、つまり本を読む人が必ずいるのはなんだか嬉しい

先日は県一でかい図書館を利用して楽しかった

自宅ではとうてい所持できない冊数の本に囲まれた図書館は、いくつになってもワクワクするワンダーランドだ

本もまともに入荷されない田舎育ちの私にとって、一生切り離せない場所である

あと図書館書籍は貸し出し期間が決まっているため、せっつかれないとすぐ積んでしまう私のような人間には有り難いシステムだったりする

今の優先積読は、『姑獲鳥の夏』『頰に哀しみを刻め』『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『虚無への供物』

『姑獲鳥の夏』はめちゃめちゃおすすめしてもらったし、いい加減ネタバレ見る前に『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も読まないと

あと放火の本も借りてるので年末年始は読書休暇にしたい(原稿は…?)

@gnc
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