ケアを感じるアニメ『葬送のフリーレン』

ARARE.
·

何故この物語にこれ程までに惹かれるのか。明確な答えが出ずに漠然とした想いを抱きながら、秋・冬と2クールに亘って観賞した。

文筆家のヒラギノ游ゴさんが「これはグリーフワークを描いた物語じゃないか」と仰っているのをみて、なるほど、と思わず膝を打った。

フリーレンはいつも表情や感情の起伏が乏しい。人間が楽しさや美しさを見出すものに、共感できずにいるような気がする。それは短い生を生きる人間と、長い生を過ごすエルフ(フリーレン)との違いによるものなのだろうか等と思っていた。

勇者一行に加わる魔法使いフリーレン。彼等が魔王討伐を果たしたところから物語は始まる。

謂わばこれは、フリーレンの人格形成に多大なる影響を与えた、勇者一行(特にヒンメル)との旅を振り返る物語なのかもしれない。フリーレンはヒンメルの死後、共に踏破した道を辿りながら2周目の旅へ出る。かつての仲間の弟子を従えて。失った人との思い出を辿り、自身の感情の答え合わせをするかのように、一つ一つ町を訪れていく。次第に彼女の表情が最初と違うことに気付く。上手く言葉で表せないのがもどかしい。自分とは違う種族(主に人間)と関わり合いを持ち、その刹那の時間を理解しようとするフリーレンの心が色を帯びていくというか。

深く心に温かい感情がゆっくりと広がっていくような、作品だった。次クールの制作が待たれる。というか、制作して欲しい!!この作品が持つ、独特の空気感が好き。それは、穏やかで丁寧に滲み出る優しさ、幸福でありたいと願う気持ちなんかが感じられるからかもしれない。

@godhelpthegirl
テンション低めのオルタナティブ人間。穏やかでゆるゆるとした場所や時間が好物。