ろくでもないニュースばかり飛び込んできて、句が作れない、というひとの話を聞き、山崎ナオコーラさんが以前、「戦時中に『細雪』を出版する、そういう闘い方もある」と書いていたことを思い出した。
花や鳥を愛で、風に喜び、月にうっとりして俳句をつくる。怒りややるせなさが原動力になることもあるが、そういう句だけを作っているわけではない。お気楽と言われたらそれまでかもしれない。
けれど、心から花鳥風月を楽しんで句を作りたいから選挙に行き、署名をし、ご意見を送る。頭に来たら怒るし嫌なことをされたらNOと言う。日々が闘いであり、どの句も日々の生活のなかで生まれている以上、闘いの結果とも言えるだろう。
心を痛めながらも、どうか句を作ってほしいと思う。闘うために句を作るわけではないけれど、あなたが作った句は、ろくでもない世界と闘った証だから。
冒頭の『細雪』のエピソードを思い出すたびに原典を探すのだが見つけられず、もしどこに記載されているかわかる方がいたら教えてください。