疎ましき女のからだ鵯鳴けり
カフェーとは「ラクな仕事」や秋灯
歌女鳴くや父の反論遠ざかり
法廷に好意と悪意文化祭
かなかなや断髪の手に鈍き音
抛げてまた拾う札束秋時雨
小鳥来るされるまま着る割烹着
手から手へ小皿ゆきかう秋の昼
鍋をゆく木べら重たし秋思かな
小豆煮る改変されし法廷劇
腕すべて受けとめるため吾亦紅
秋深し三陰交に寄り添う手
卒業の階段降りる五人かな
花束や卒業生の目の真直ぐ
入学の五人ゆっくり歩きだす
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一話一句増刊号でした。
だれひとり置いていかないという、制作サイドの強い意志を感じる15話でした。