虎翼日記(第8週)

五月ふみ
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梅の花名前を呼ばずとも香り

まだ知恵を持たぬ蛇なり穴を出づ

素顔なる職業夫人春の土手

おみならの声こえコエや若葉冷

夏の霧欲しいのはただ未来だけ

染みつきて取れぬ怒りや青嵐

一筋の滝でありたし頬に風

岐れれば交わらぬもの夏の川

赤紙のうすくれないや秋の声

寅子の兄に続いて夫・優三にもついに召集令状が届いた。

出征前の優三の、「好きなように生きて、人生を全うして」という言葉、とくに、「いい母でいてもいい」という部分は、裏を返せば世間一般の「良妻賢母じゃなくてもいい」ということで、「いい母であらねば」と知らず知らずかけられていた呪いを可視化されるようだった。

@gogatsu
ごがつ ふみ です。 俳句を作ったり読んだりしています。