
手に背の記憶残りぬ冬の夜
セーターの裡のからっぽ血が滲む
湯気立ての音を分けたる二人かな
肉筆に声滲みけり春の月
春驟雨やみてしずかな水溜り
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火曜日、みさえのまえに現れた優未を寅子が慌てて引き寄せるシーンがあったけれど、あの場ではああするしかなかっただろうなと思う。直前に「なぜ人を殺しちゃいけないのか?」と問いかけるような女だよ…?
全方位に愛のある寅子だけど、どうしたって偏ってしまうことはある。寅子が全部を背負い込む必要はないんだよ。
金曜日、廊下できょどきょどと間合いを計っていた航一がよかった。はたから見たらすこし滑稽でも、本人たちが、いま幸せならそれでいいんだ。