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風鈴や決心の言葉はしずか
亡き人の面影さがす夏座敷
向日葵や正論はまだおさまらず
揃いたる旧友の顔灯涼し
合格を小さく祝う雪の夜
純度高き言葉は消えず冬の朝
吾のすがた映し続けし冬泉
かすみ草母の形見の古手帳
*
なにかあったら頭のなかにタッキーを呼ぶライアン、心によねさんを棲ませてきた涼子様。
金曜日の美佐江の、身籠れば特別になれるかと、は、妊婦になれば世間から「特別」扱いされるのでは、ではなく、妊娠相手の「特別」になれるかもと思っていたがそうではなかった、という意味に捉えた。妊娠しても、数多いる取り巻きのひとりに過ぎなかった、というか。
『虎に翼』は家族のありかたがひとつのテーマだと思っていたのだけど、特別な何者かになることよりも、「自分らしく生きること」というのもテーマのひとつだったのだなと。
というより、自分らしく生きることこそが基本的人権の骨で、このドラマはずっと一貫して「基本的人権」を取り上げてきたのだ、そのなかに「家族のありかた」もあったのだと気づいた。