九月の海

五月ふみ
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白息に交じる白息捉えたし

凍星や祈りのゆびの愚直なり

天秤の傾げば深き春の闇

春雷に共鳴したる胎の底

春雲はくちびるほどのかたさかな

終着地見えぬほど満ち花万朶

南風のかたちに木々の膨らめり

降られたと言えば笑いぬ夏の雨

凌霄花手紙の折り方は忘れ

花火果つ残像追えば恋のごと

目薬の零るるを吹き風白し

押し花を九月の海に砕きたる

瘡蓋の内の脈拍雁渡る

立ち枯れて向日葵ふたつ並びおり

冬あおぞら歌声ひとつ貫けり

@gogatsu
ごがつ ふみ です。 俳句を作ったり読んだりしています。