重度のPMSの女と、パニック障害の男が助け合う話。
メインの二人のシーンも良かったのだけど、栗田科学の空気が良くて、どのシーンも染みてしまった…。
労働生産としての職場ではなく、居場所としての職場。新卒のころは会社というのは仕事をする場所で、成長して利益が上がるほどいいという気持ちがあった。それは間違ってはいないけれど、ある時期から、場所としての職場というものを意識することが増えた。多分、いろんな職場を見て空気を感じたのと、働く「私」は機械のように規格通りに動けない、不合理だらけの生ものだということを学んだからだと思う。
自死遺族の会のシーンで一番泣いてしまった。それも、トーキングウッドをもって話しているシーンではなく、その後オリエンテーリングとして卓球をやっているシーンで。本当に普通の人が、落ち込んだり元気になったりをくりかえして日常に存在してるんだなぁと感じたというか…。主人公の二人だけではなく、みんなケアが必要だし、だれかをケアしたいと当たり前に思っていて、それがあのスクリーンの中ではごく普通の社会の営みで美しいなと思った。
藤沢さんの登場シーンと最後のシーンが両方雨だったのが印象的だった。どちらのシーンも彼女は傘を持っていない。栗田科学の日々を通して、PMSを防げる傘を手に入れたわけじゃない。それでも全然印象の違う、二つの雨のシーンでした。