今日は雪が降った。
長野に住み始めて2回目の冬。
雪も少しは見慣れたものになった。
それでもやっぱり、生まれてからの20数年間を関西(の、ほとんど雪が降らない地域)で過ごしてきた私は、雪が降るとやはりわくわくする。
運転をするようになり(車が必須な土地で暮らしているため)道路の心配をするようにはなったけれど、朝目覚めてカーテンを開けると窓の外が真っ白に染まっているあの瞬間、私の心は静かに躍る。
雪が降って大はしゃぎしながら団地の階段を駆け降りた、あの冬休みの1日に戻ったかのような感覚になる。
そういえば大はしゃぎって最近してないな。
というか、そもそも大はしゃぎってどんなようすのことを言うんだろう?
果たして、私は人生において「大はしゃぎ」したことあるのかしら。
…とそれはさておき、「幼少期 冬」のセットで思い出すもののひとつに、これがある。
『雪の中で作るアイスキャンデー』
私が実際に作ったことがあるのではなく、小学1年生くらいの頃に祖父母の家のテレビでいつものようにぽけ〜っと観ていた教育番組(お昼前後に放送していたものと記憶している)である日突然紹介された、あのアイスキャンデー。
空になったカメラのフィルムケースに好きな味のジュースを注いだら(番組ではオレンジジュースやぶどうジュースを注いでいた)、棒を入れて(たしか割り箸とかだったような気がする)そのまま棒の部分だけが地上に出るように雪の中に埋める。
そのまま何時間か、雪遊びをしたりしながら待つ。
そうすると、雪の中でアイスキャンデーが出来ている!
という、当時5歳だか6歳だかの私にとってはまるで夢のような放送内容。
すぐさま「やってみたい!」と、おばあちゃんに興奮冷めやらずな状態で伝えたのを鮮明に覚えている。
だけど、
「雪降らへんからなぁ〜、ここではそう簡単には作られへんわなぁ」
そうおばあちゃんが教えてくれて、そっか、このアイスキャンデーは雪が降るところに住んでいる人たちだけが食べれるものなんだ、とすんなり納得できたのも覚えている。
雪が降って地面に積もるたびに、あのアイスキャンデーのことを思い出す。
真っ白な景色に映える、色とりどりのアイスキャンデーたち。
とても美味しそうに、美しく見えた宝石のようなアイスキャンデーたち。
そして20数年の時が経ち、私は今、雪が降る場所に住んでいる。
いつか、あのアイスキャンデーを作って、「ほれ、作れたで」と20数年前の自分を満足させてあげたい。
そんなことを考えているうちに、雪は跡形もなく溶けている。