我が家から見える景色は見事に田舎だ。 少し下れば川があり、息子の小学校には裏山がある。15分も車を転がせば田んぼが、30分も走らせれば真の田舎まで行ける。
とはいえ、新幹線が止まる主要駅にも車で15分という見事に田舎と街の境目に住んでいる。景色も空気もさほど悪くもなく、便利なので都会にかぶれた田舎者には丁度いい塩梅だ。
立地としては申し分ないのだが、田舎に暮らす上で、切っても切り離せないものがある。
そう、それは憎きあいつ。『花粉』である。
都内に暮らしていた時ですら2月初めくらいから、『くっ、飛び始めたか…』と思ったものだが、田舎は違う。1月だ。1月なのにヤツらがいる。
『ここは北国なのに飛散時期が早いのか?』いや、そんなものは関係がないのだ。そもそも、ヤツらの母数が違う。ここは、山だ。山いうことは都内と比較にならない数の『スギ』があるということだ。そして、近隣に田んぼがあるということは、畦道があり川があるということ。そう、大量の『イネ』だ。これこそ都内との大きな差だ。威力が桁違いなのだ。
引っ越してきたばかりの頃、『なぜ!なぜ桜が咲いたのにも関わらず、鼻水がとまらないっ!!』と喚き散らしていたが、なんてことはない、次弾が装填され、爆発していただけのこと。『ブタクサ』『カモガヤ』『ヒノキ』もはや言うまでもなかろう。『スギ』や『イネ』よりは少ないものの、そこらかしこに生えている。
ここまでくると、私の鼻腔は常に負け戦状態である。比較的都市部に近くてこれなのだ、私は一生涯、真の田舎には住めないのだろう。
田舎に暮らすということは、つまり、自然との戦いなのだ。