私には小学生の息子がいる。可愛い可愛い一人息子だ。比較的に若くして母になったのだが、後悔はない。
母だと言うことをタイトルにしてみたのだが、実のところ私はあまり子供が得意な方ではない。我が子も可愛いし、友人の子供もべらぼうに可愛い。ただ、まったくの他者の子供を可愛いと思うかと聞かれたら『んーーー…』と返答に困ってしまう。
街中で他人の子供をみても『あーあんな頃もあったなぁ…』『あー、うちの子もこうなっていくんだろうなぁ』とは思うけれど、それ以上の感想はない。それは息子の同級生に対しても同じ。冷めた人間なのである。
それと同時に子供扱いもあまり得意ではない。赤ちゃんや幼児に対して私がするそれは、『昔見た駄菓子屋のおばちゃん』の真似事で、自分の中から出てきたものではない。自分の息子にも『昔見た母』や『漫画やドラマで見た親』『同級生のお母さん』の真似事をしているような気もする。
母性がないかと言われたらそうではないのだが、母になり、10年経ってもまだ、『母親の自分』はよく分からないままだ。そんな私でも息子にとっては母なのだから、世の中には案外私のような母も多く存在しているかもしれない。
最近、息子も大きくなってきたので別々の時間が増えてきた。買い物もついてこなくなったし、家族でどこかに行くことよりも、友達と遊んでいる方が楽しくなってきたようだ。とはいえ、家族でどこかに行くことが嫌いではなさそうなので、遊んでくれるうちはどこかに行ったりしようと思っている。
別々の時間が増えても、あまり寂しさはない。どうやら息子自身も自由にできる時間があるのが心地が良いようだ。よかった。今のところは親離れできない子供にも、子離れできない親にもならなくて済みそうだ。
きっと、息子が就職したくらいに『あぁ、振り返ってみると私も母業をやっていたな』なんて思う日が来るのかもしれない。
私の中ではそれが正解だし、それでいいと思っている。躾をするという業務から解放されるのが、そのあたりだろう。
しかし、その先も息子の母であるということには変わりはない。子を産んだ瞬間に、どんな人間であれ、一生『母』なのだ。