珍しく割と思うように仕事が進んだ日だったんだけど、そういう日は逆に日記に書くことがない。脱線と妄想とサボりがこの日記を作っています。
編集者の井上さんと打ち合わせで『夜と霧』の話になった。強制収容所やガザについていろいろ思うところを話したんだけど、帰ったあと思い当たることがあって愕然としてしまった。私は話しながらスターバックスのコーヒーを飲んでいたのである。少しでもガザに関心のある人なら知っている通り、ボイコット(BDS)の対象企業の筆頭格だ。いや、違うんです……。知らなかったわけではなくて、折々ニュース記事で目にしていたし、あんまり見なくなったけどSNSでいろんな人が画像にまとめて呼びかけているのも知っていたし、他の企業とともにロゴマークの一覧を頭に入れているつもりだったのだ。でも打ち合わせの前にものすごい眠気が襲ってきて、このままじゃ良くないなと思って近くに見慣れたコーヒー屋さん(スタバ)があったのでつい買ったのだ。そう、ついついってやつね。うっかりとね。けれども私が「ついつい」「うっかり」何を忘れたのかといえば、それはもちろんガザのことである。話題には出したのだから、厳密にいえば、自分の暮らしとガザがどのようにしてつながっているか、を忘れてしまった。それは認めざるを得ない。良心のある人が傍から見れば、非常にグロテスクな絵面だっただろうな。自分が皮肉な風刺画の一枚に閉じ込められてしまったみたいで、とても恥ずかしい。