雨ばかり降る日。異様に眠くて昼まで寝たり起きたりしていた。カフェインも全然効かない。15時頃にえっちらおっちら起き出してスーパーのイートインで鉄火巻きを食べ、短編小説のネタ出しをした。
いしいしんじの『書こうとしない「かく」教室』に載っていたやり方だ。この本は半分くらいはいしいしんじ自身の半生と書くことについての所感が綴られているのだが、後半には作文についての実践的な章がある。テーマとなる単語を紙の真ん中に大きく書き、そこから浮かんでくる思い出や連想を短く書き留めていくという方法で、「思い出を釣り上げる」というような説明がされていた(たぶん)。今回はテーマがある程度決まっているのでこの方法を取ってみたのだが、一見自分と縁の薄そうな単語であっても意外と書くことはあるものだ。小一時間で小さなノートの見開きがだいたい埋まった。
その時は使えるかもしれないな、という場面の断片をいくつか書き留めただけだった。帰ってからChat GPTよりすごいと噂のClaude3(無料版のSonnetだけど)に思い浮かんだ断片を投げてみると、感想や展開の案を返してくれた。今のところClaude3が出してくるプロットは、はっきり言って面白くはない。それなりにそれっぽいし、推進力もあるのだが、わざわざ私が書きたいとは毛頭思わない。なので「それよりもこれこれこういう展開が面白いと思う。それからどうなった?」と書くと、「非常に興味深い展開です」と同調して続きを挙げてくれる。この調子でラリーを続けると、まあそれなりなプロットができた。実際に使おうとは思わないが、遊びとしては面白かった。
で、ちょっと休むかと思ってお風呂に入った。シャワーを浴びている時、急にテーマにまつわる鮮烈な場面が降ってきた。物語の冒頭に持ってきたらなかなか良さそうな光景だ。お風呂を上がってすぐ、忘れないようにDynalistに書き込んだ。たぶんこの場面を起点に話ができていくと思う。というわけで、スーパーでのネタ出しも、Claude3も直接的には役に立たなかったのだが、こういう行為はそもそも物語が芽を出すために、土を掘り起こして柔らかくする作業に当たるんだろう。