朝は空に雲がないほどすっかんと晴れていた。気温も高くて春みたいだ。郊外へ仕事に行く用事があったので、帰りは4キロほどの道のりを散歩がてらに歩いた。筋力が落ちていて坂が多いせいもあり、駅に到着する頃には汗ばんでいた。家に帰る時もバスを使わなかったので、帰宅したらどっと疲れが出た。横になって休んでいると、そろそろ起きなきゃ、風呂、片付け、夕飯の支度、犬街ラジオの用意、今日中にやる仕事、その他諸々の雑用、トイレ…という調子でタスクが頭の中を飛び交い始めて苦しくなり、ますます動けなくなって、「あ、こうなるってことは疲れているんだな」と初めて早めに気づけた。去年12月頃からほぼずっとこの状態に陥っていた。1時間くらい横になっていたが、もそもそ起き出して風呂に入り、鍋の支度をして犬街ラジオ用の掌編を書いた。私にとっては大進歩だ。最近日記が続いているので、「書いてみてつまんなかったら日記を朗読すればいいや」くらいの気軽さで書けたのもよかった。
犬街ラジオでは、谷脇さんが犬と街灯の「読む前に書け」で書いた「集める」「細長い」がテーマの即興掌編、私がVAPEトリックで煙を戦わせる秘密の趣味を描いた「闘煙」、北野さんが温泉世界やその神話を描いた「湯」を読んだ。暮らしにおける貝塚のエモさに気づけてよかった。
週末は久々に泊りがけで出かける用事があるので、朝からちょぼちょぼとそれらの支度を進めた。宿はなんとか安いのを確保できた。ぷらっとこだまを使おうと思ったのだが、すでに売り切れていた。またこのパターンだ。用事はずいぶん前から決まっていたのだからさっさと予約してしまえばよかったのに、毎回こうなる。旅においてはランダム性を愛している方だが、確実に安く旅行できる方法があったにもかかわらず己のずぼらさのせいで逃すというのはやっぱり悔しい。作業しながらSatoruと岡田悠の「超旅ラジオ」を聞いていたら「なんも準備しない「無計画旅行」の実践法と注意点」という回があり、そこでスカイスキャナーというLCC航空券チケットの比較サイトが紹介されていた。チケットを検索する際の条件指定で行き先を「すべての場所」にすると、今出ている安い航空券を提示してくれるというものだ。試しに今日の日付でやってみると、韓国のチョンジュに22,305円、タイのバンコクに36,900円、サンフランシスコに50,283円のチケットが出ている。怖い怖い。これ買ったら今日のうちに荷物をまとめて空港に旅立つことになるわけだ。ただ安いからというだけで買うのだから下手すれば位置すら知らない国に行くことになるだろう。安いのはメジャーな旅行先が多いし、よく見たら到着までに34時間かかるフライトだったりはするのだが、人生が全部嫌になった時にスカイスキャナーで適当な航空券を買って逃げるのは逃避の方法として悪くなさそうである。あとラジオでは「ビザの問題とかもある」と言っていた。ビザか。自分がビザの申請をしているイメージが毛頭持てない。しかし私は宿を取るついでに確定申告のサイトにアクセスしログインするという偉業を成し遂げた。いつもなら提出期限の2日前とかにやっている作業である。プールの前に体に水をかけるくらいのことだが大いなる一歩と言えるだろう。
榎本俊二の『ムーたち』が無料公開された。大変なことです。『ムーたち』は連載中に読んでいてすごい漫画が出てきたなと思ったし単行本でも繰り返し読んだので、紙の本が絶版になったと聞いた時は驚いた。最新作の『ザ・キンクス』もいい意味で力は抜きつつ、『榎本俊二のカリスマ育児』などエッセイでの仕事も踏まえたとんでもない漫画になっている。何より絵がやばい。1巻はまだ読めてないけど楽しみだ。しずインに書いていることどこにも告知してないのにこの日記を読んでいる6人くらいの人たち、何人が人間か知らないけど『ムーたち』を読んでください。