ネイルの良さがわかってきた。外出中にふと退屈した時、視線を爪にやると落ち着く。私は注意力散漫かつ常に何らかの情報を感受することで脆弱な自我の輪郭を補強しており、歩行中などはAudibleを聴いていないと一瞬でスマホを開いてまったく今やる必要のない検索を始めてしまうのだが、そういう衝動に駆られた時も爪を見るととりあえず収まる。「爪かわいいな」「ブラウンだな」「つやつやしているな」「左人差し指のネイルに欠けがあるな」「いつまで保つのかな」云々。もしかしてこれがマインドフルネスか?ネイルは自分の一部だが、いい感じに自分と関係がありつつ、やっぱり自分ではない部分なので、興味を持って観察しやすい。これはいい文化だ。また、今は到底そこまでできないが、爪を抽象画のキャンバスに見立てることで気分を表現することもできそうで、たとえば憤怒にかられている時に沸騰するマグマや鋭いトゲといったモチーフで爪を飾れば、自分の感情を外部化して冷静に把握すると同時に他人にそれとなく知らせる窓にもなるのではないか。みんなこういうことをしていたんですね。
一旦手持ちの仕事を全部終わらせて体調も悪くなく、久しぶりに、とても久しぶりに長編連載の更新(翌日)に向けて一切の心置きなく執筆に没頭できた。なんか本当に甘ったれているなと思うんだけど、私はタスクが複数あるだけで簡単にフリーズしてしまう。仕事の本数を絞るなどできればいいんだけど、基本的に数上げてなんぼだし案件なんて手が離れたと思ったら戻ってきてのお手玉状態が当たり前だ。だから1日あたりのタスクを細分化して、そこさえクリアしたらもう考えないのがいいんだろうけど、難しい。なぜなら急に抑うつ状態になって数日ドブが消え、当初の計画がそのまま進むことはほとんどないから…。この日は5時間くらい執筆に没頭できたけど、プロットの整頓も含めたとはいえ2000字程度しか進まなかった。掌編なら1時間もあれば2400字行くのに。書くのが遅すぎる!