2024/03/16 双六みたいな人生

hachimoto8
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同居人がずっと伸ばしている髪をついに切るのだと言って、ビフォー写真を撮るよう頼んできた。記憶があいまいだがコロナ禍あたりから伸ばし始めてもう足掛け5年になるだろうか。すっかり腰まで伸びて、街中でも珍しいレベルの長髪になった。毛髪が寿命を迎えるのかはたまた擦り切れるのか、それ以上は伸びないらしい。普段1つに結わえているゴムをほどいて左右に垂らすと、思った以上に毛量が多く毛の放つインパクトがすごい。風貌が怪しすぎる。「信じられない、この見た目で大麻をやっていないなんて!?」と爆笑しながら写真を撮った。ゴムでくくって毛束を測ると61センチあった。

確定申告からのおでかけダメージで寝坊してしまったが、布団で沈没しそうなので無理やり出かけた。カフェで日記を書いたが仕事は一切捗らず。自分に嫌気が指して、Audibleで普段なら絶対聞かない自己啓発本を選んだ。竹内康二『めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法』である。タイトルあえて書いたけど恥ずかしい。一応、出来ない理由をやる気や根性といった自分の資質に求めずにすべて環境や他人のせいにしてみて、その上で改善策をとるという行動科学をベースにしたアプローチになっている。そしてやりたいことをやらないでいるのは、やりたいことをやって得られる少し先の報酬(遅延報酬)より、休むと楽、食べるとおいしい、ゲームが楽しいなどの目先の報酬(即時報酬)が優先される原則に人間は抗えないからだと語る。だからなるべく些細でたくさんの即時報酬を設定することで、今やってしまっている問題行動に対抗する…とこのあたりまでは納得できて、身につまされまくっていたのだが、行動科学を実践に移す章になると、とにかく科学実験のように標的行動を冷徹に観察し、低い目標を設定し、数値に落とし込んだライフログを持続してつけろと推奨しているので面食らってしまった。やるべきことをやらずに、では何をしていたのか把握するのが出発点だというのはわかる、非常にわかるのだが、そういうことが続けられる人に行動科学は必要ないのでは?こうなると著者がさらりと「私はフルマラソンに何度か参加しているのですが」とか言っているのも気に入らなくなってくる。フルマラソンを完走できるやつに私の苦しみがわかるのか?自分という暴れ馬から毎日落馬しているどうしようもない人間の気持ちが?気づいたら全然入る予定のなかったカラオケ屋にいたりするんだぞ。きっかけなんかないよ、衝動だよ。サイコロで行動が決まるコマが生身の双六みたいな人生を送ってきた人間のままならなさがお前にわかるか?めちゃめちゃキレてしまったけど行動科学のアプローチは発達障害児の療育などにも取り入れられているらしい。ならばある程度効果が見込まれるのだろう。本当にやりたくないけど。マジでやりたくないけど、スマホとPCとタブレットのアプリ履歴を総合したら一日の行動はほぼ把握できそうではある。AIと組み合わせるなどしてなるべく負担なくライフログをつけられないだろうか。

同居人は髪が長いまま帰ってきた。数年ぶりに通っていた理容室に行ったら親子2人のうち父親の理容師が引退しており、人手不足からか予約制になっていたとのこと。髪がずいぶん伸びていたので息子は驚いたそうだ。毎回来ていた客が来なくなったら、普通はよそに鞍替えしたと考えるだろうから、来なかった年月分の髪をぶらさげて客が戻ってきてびっくりしただろうな。牧場から脱走した羊がもこもこの毛玉になって帰ってきたみたいな話だ。

@hachimoto8
なるべくしょっちゅう書く/始めないし終わらない/これで完成でいいや