2024/05/12 モンパン食堂

hachimoto8
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仕事をしようとしたが全然集中できずにぼーっとしていたところ、同居人に誘われてモンパン食堂に行った。平安神宮から少し歩いたあたりにある。

モンパンはモンゴルパンの略らしく、名物メニューになっている。他にもざっくりアジアっぽい炒めや麺ものメニューが並んでいて、どれもおいしそう。ホタルイカの広東風という謎の料理と、それぞれにモンパンを頼んだ。ちょっと遅めの時間に行ったのだが奥の座敷がグループで満員で、店主は一人なのでけっこう待った。このあとに予定もないから苦にはならない。私たちの座った席はなんと一つがブランコになっていて、天井近くの梁から白いロープが垂れていた。ゆらゆらして落ち着かないかと思いきや、ゆっくり体をゆすっているとかえってすごく穏やかな気持ちになる。私はいつも体をもそもそさせてしまうのでとてもしっくり来て、家にもブランコがほしいと思った。店先にもテラス席があって、軒先の内側にツバメが巣をかけていた。雛が何羽もいて、親鳥がひっきりなしに餌を持ってやってくる。不思議なことに、雛たちがピーピーと騒ぎだすと数秒から数十秒のちに親鳥がやってくることが多い。巣から親鳥が見えているはずはないのにどうしてわかるのだろう。羽音や声がしているのだろうか。ツバメを眺めながら料理を待った。

店主はたくさんの注文があるのでてんてこまいで、「ああ、〇〇麺だ」とか「注文は〇〇でしたよね?」などとつぶやきながらくるくると働いていたのだが、その様子を見ているだけで「このひとなんだかいいなあ、好きだなあ」と思った。なんというか、私の魅力的な友人たちに似た雰囲気を持っているのだ。お店の中にはたくさん絵が飾ってあったり、「猫が出てくることがあります」という旨の英語の注意書きがあったり、あるいはたくさん並んだ瓶や本などから感じ取れる人柄があって居心地がいい。野草の図鑑などを読んで過ごした。

ホタルイカの広東風は、ホタルイカをごま油とにんにくと青唐辛子で和えてパクチーを添えたもので、初めて食べる味付けだけどすごくおいしかった。モンゴルパンはカリッと焼いた薄皮パンにレタスやトマトソース、ポテト、ミンチなどいろいろな具材を包んだもので食べごたえがあった。トルティーヤにちょっと似ているけど、もっと生地がふわっとしていてでも焦げ目もあって、私はトルティーヤよりこっちが好きだ(トルティーヤ、店で食べたことないから比べたら不公平かもしれないけど)。お酒は飲まなかったけど冷蔵庫からセルフで取って自分でつぐ方式になっていて、夜も来たいなあと思った。

食べ終わるころにはお店がすいていたのもあって、店主の方がいろいろと話をしてくださった。夫婦でお店を開いて8年になるがお連れ合いの方は2年前に惜しくも亡くなったということだった。旅と語学が大好きで、各国を旅した際のペン画と旅日記が大量に遺っており、今本にまとめようと苦心されているところなのだそうだ。お店の建物の由来について、開店当初の工事について、昔住んでいたアパートの思い出などいろいろ語ってくださり、その全部がいきいきとして驚きに満ちていて、一瞬でメロメロになってしまった。人物を評するのはおこがましいけれど、感性と言葉と生き方がきっちりと噛み合っている人、という印象を持った。もちろん料理もおいしいのです。近くの方はぜひまた一緒に行きましょう。

@hachimoto8
なるべくしょっちゅう書く/始めないし終わらない/これで完成でいいや