朝、京都市長選挙の投票に行ってパン屋に行って、午後は友人たちと大山崎山荘美術館で「藤田嗣治 心の旅路をたどる―手紙と手しごとを手がかりに」を見た。仕事が死ぬほど溜まっているのだが約束を優先した。この美術館に行くのは初めてだ。思ったより急な坂道を上った先にあり、庭と建物がきれいだった。
藤田嗣治は「なんか冷たくてすべすべしていそうな肌の女を描く人、あと猫」というイメージだったが、展示されていた手紙の挿絵からはひょうきんな人柄がうかがえた。筆まめだったらしくたくさんの手紙が残っており、たっぷりの文章が綴られている。添えられた絵は油彩画とタッチが全然違っていて漫画っぽく色彩も豊かだ。猪熊弦一郎が腎臓手術に臨む際に送ったという一連の手紙は特に魅力的で、「大手術に疲れ果てた医師や看護婦がバタバタと手術室の床に倒れ伏す中、摘出した腎臓を満面の笑みで掲げる猪熊氏」の絵は構図がかっこよくSF漫画の見開きになりそうなスタイリッシュさがあった。セルフプロデュースに長けていて服装や髪型にこだわる一方で、自分を漫画タッチに描いた絵のそばに呆れたりちゃかしたりしている犬、猫、鳩などの動物が添えられていることが度々あって、自分を俯瞰して笑いのめすようなユーモアが垣間見える。フランスで生活していたが第二次世界大戦をきっかけに日本へ帰国した後は、政府に依頼されて戦争画に取り組んでいる。良くも悪くもめちゃくちゃ人が好きで共同体にコミットしたい人、という印象を持った。終戦後は戦争に加担したとして批判され、その後フランスに戻って洗礼を受け帰化することになる。鑑賞後、友人たちと「Twitterやってたらめちゃくちゃ更新してそう。こっちは絵が見たいのに自撮り5、絵1くらいの頻度で上げてそう」「ファンからのしょうもないリプにも1つ1つ返信してくれそう」という話で盛り上がった。
藤田嗣治の絵はもともと好きというほどでもなくて、特に裸婦画はなんだか薄暗くて怖いなと思っていたが印象が変わった企画展だった。猫の絵は素晴らしかった。猫を見る度におぼえるほとんど驚嘆に近い可愛さを写し取ろうとした痕跡があって、「ふわふわ、あったか、いのち…」という感じだった。
2階の喫茶室に入ってしばらくおしゃべりをした。よく日の当たる部屋でとても居心地がよく眠たくなった。猫のクッキーが添えられたコーヒー味のロールケーキとコーヒーを頼んだ。話題は育児の話、死が怖い話、やったことないジャンルに挑戦して雑でも下手でもいいからどんどんものを作っていきたい話、健康の話など。
夜に大接戦だった投票の結果が出た。嫌すぎる。ただ、いつもと違って自分の交友関係と町で感じた雰囲気と投票結果にあまりギャップを感じなかった。私のいる区だけで見ると勝っていた。意見が言える機会があれば言っていくしかないですね。
帰ってきたらぐったり疲れて2時間くらい仮眠してしまった。夕飯の後もまた寝てしまい、2時に目が覚めて今この日記を書いている。このまま9時くらいまで仕事をする予定。