奈良のLOSTAGEというバンドについて

haganenoubik
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2023年、年末。久しぶりに大学時代の軽音サークルの仲間で集まって年末ライブを開催した。

ライブ終わりの飲み会の席で、リハの合間に少しだけ話をした4学年違いの後輩が声を掛けに来てくれた。

あいにく自分は彼のことをライブ当日まで知らなかったが、彼は自分のことを知ってくれていたようで、共通の好きなバンドについて話しているうちに、そのバンドに熱中していた頃を思い出して、書きたくなったので書いてみる。

(しずかなインターネットはこういう時にちょうどいい。)

大学生の時分、軽音楽サークルに所属していた自分は、所謂日本のインディーズバンドを聴くことが多く、特に3ピース(3人編成の)バンドが好んで聴いていた。

主に3つのバンドにハマっていて、そのうちの1つが奈良のLOSTAGE(ロストエイジ)というバンドだった。

ベースボーカルの兄、ギターの弟の兄弟が中心のバンドで、当初はギター2人の4人編成のバンドだったが、2度のギタリスト脱退を経た後に3人編成になった。

元々「名前は聞いたことある」程度だったが、自分は3人体制での初リリースのアルバムから彼らの音源に触れ、一発で惚れた。

東京遠征時のライブには頻繁に足を運んでいた。

昔はインディーズでもどこかしらのレーベルに所属していることが多かったように感じるが、彼らは3人体制になって以降に自主レーベルを立ち上げた。

それから、兄は奈良で小さいレコードショップ店を経営し、弟はその後に同じく奈良で小さい飲食店を開いている。(2人とも、店舗の内装はかなりの割合、DIYだったと思う。)

当時から現在まで、彼らの活動拠点はずっと奈良にある。

自分が社会人2年目か3年目の長期休暇の折に、1人旅で京都と奈良に旅行に行った時、そのレコードショップまで足を運び(当たり前だが)まさに本人が店頭に立っていて緊張したのを覚えている。他にお客さんもおらず、購入したレコードにサインをもらい、他愛もない話をしたと思う。

今は当時ほど細かく情報は追っていないが、新しい音源が出れば聴いているし、彼らは当時と変わらず格好いい。

彼らの音源は(ほんの一部のコンピレーションのカバー楽曲を除いて)サブスク配信はしていない。CD、レコードあるいはその両方でリリースするスタイルを続けている。

現在は47都道府県でのライブツアー中らしいが、最新のアルバムに関しては、今のところ、現地のライブハウス、兄のレコードショップ、弟の飲食店、奈良のスタジオでしか買えない。

レコードショップのオンラインストアもあるが、今回のアルバムについては、リリース後、1年間はオンラインで売らないということに決めたらしい。

丁度、コロナ禍と重なる時期に1つ前のアルバムをリリースし、ツアーを断念せざるを得なくなり、コロナ禍に一区切りついた頃にリリースされることになったのが最新のアルバムで、この数年でより一層オンライン化・デジタル化が進んだ中で、彼らなりのある種のアンチテーゼみたいなものなんだと思う。

格好つけるためにインディペンデントなスタンスをとるわけではなく、彼らなりの不器用な信念とか誠意みたいなものが感じられるから、結果的に彼らは格好いいんだと思う。

そんなわけで、ライブにも行けていないので、自分もまだアルバムは手に入れられていないし、聴けていない。

でも、思い返せば昔はそれが当たり前のことだった。CDを買って帰るまでのワクワク感。あれもある種のユーザー体験だよなぁと思う。

そういうワクワク感は、便利になるにつれ減った。音楽が消費されるものに感じるようになったのもそれが理由だと感じてる。

何かのインタビューでバンドの辞め時を失っただけ、というようなことを言っていたような気がする。モチベーションが高いとか低いとか、そういうことでもなく、彼らにとって生活と音楽(バンド)はずっと密接で、日常の一部なんだと思う。

取り留めもなくなってきたし満足したので、終わり。