バラバラな欲が駆動して、それぞれについて調べたり動いたりしているが、それらが自分の中ではある種のベクトルに向かった一連なりの変化のよう感じられる日であったので、記録しておく。
もしもピアノが弾けたなら
ピアノを弾くことにずっと憧れがある。いつからか分からないが、ピアノの音は昔から好きだし、モテたくてギターを始めるというような青春時代はなかったが、もしカッコいい楽器を弾く姿に自分もなれるとなったら、思春期の頃でもギターよりピアノを選んだと思う。もともと、父親がアマチュアバンドをやっていたこともあり、幼い頃から家にキーボードとギターは置いてあった。が、その中でたまにおもちゃ代わりに触ったのはキーボード(どちらかというとシンセサイザーという趣の)だけで、それも適当にボタンを触って変な音色を出したり、ホイールでウニョ~ンとやったりしてすぐ飽きただけの記憶しかない(まぁ今考えるとあれこそアンビエントミュージックの原体験だった気もしなくもない)。意識的にメロディをなぞったり演奏と呼べるものに踏み出した覚えはない。ギターについてはまずあの硬い弦を握って指が痛くなるのが嫌だったし、コードを覚えるところからというのがまずやる気にならなかった。キーボードは、押せば音が出るからよかった。まぁそれもコードを覚える必要があるようだが。
その後も、大きくなってたくさん音楽を聴くようになっても、だからといって自分で演奏をするというところまでは踏み込めなかった。聴いてる音楽がまず演奏を主体としない電子音楽ばかりになっていたので、楽器を練習するためのモチベーションたる「あの曲が弾けるようになりたい!」というものが特になかったのだ。目標もないのに、好きでもない曲を下手くそな演奏で何時間も反復練習する…という想像をするにつけ、その時間で好きな音楽を聴いてるほうがマシだという結論に頭の中で何度も至っていた。
が・・・色々タイミングが合った気がして、今日、キーボードをポチった(!)
それは、ここ数年でだんだんとハッキリしてきていたが、昨年の逝去、そして先日見てきた最後のコンサート映画で明確になってしまった自分の気持ち、「坂本龍一を弾いてみたい!」がいよいよ無視できなくなってしまったからだ。もちろん、完全な初心者から坂本龍一風なんちゃって演奏ができるようになるまで幾年月かかるのか分からない、というか性来の怠惰で反復練習もまともに出来ない自分なので、進捗すらせぬまま埃を被っていくかもしれない。その可能性のほうが高い。それでも、人生でここまで楽器に対して明確な目標とモチベーションが表れたことはなかったので、これは冷やさないほうが良さそうだなと行動に出たところである。
もちろん、いきなり坂本龍一を弾き出すつもりではなく、ちゃんとオンライン学習教材的なものを使いながら覚えてみようとも考えている。以前の自分だったらそんなの真面目にやる気になれなかったし、興味ない曲を弾く気にもなれなかったのだが、なぜか今なら出来るような気がしてきている。3歳だかの頃に、YAMAHAの音楽教室に体験入学させられたらしいのだが、ピアノに興味を持ったのは一瞬だけであとは教室をゴロゴロしており、母はすぐに「こいつダメだわ」と思ったという。あの頃の自分からやっと成長できてきたのかもしれない。
ちなみに、クラブミュージックや電子音楽から音楽を好きになったのだから、楽器よりもPCでトラックを作る方には行かないのかと思われそうだが、不思議とその欲求は出てこないというか、まぁ将来的にやらないかどうかは分からないが、それよりも音楽の中で身体的に、リニアに即興的に身体を動かしたいという欲求のほうが強い。自分はライブなどでも、人一倍勝手に身体が動いてしまう(地蔵が出来ない)タイプなので、その根源的な性質を何かしらに注ぎたいという欲求があるのかもしれない。あとは、その多動性が、反復練習に耐えられるかどうか・・・。
さて、mac miniが欲しいという気持ちを抱えながらそろそろ半年…。
5/7深夜に行われたAppleの発表会、にわかに話題になってましたね。というのもiPadの新製品についてというより、そのプレゼン前のプロモーションビデオについて。僕もリアルタイムで観ながら、えぇ~という嫌悪感を少し覚えつつ、まぁAppleならこんくらいやるか…という気持ちで見ていましたが、やはり楽器を愛する人や、Appleにクリエイションのイメージを投影していた人にとっては、文化・伝統への冒涜にしか取れないという反応が多々流れてきて、そうだよなとも思いました。そうだよなと思いつつ、反面、Appleの現在の思想的背景もこんなもんだよなという思いもありました(というとジョブズ至上主義者みたいな響きもある)
なぜそんな発表会を熱心に見ていたのかというと、前の日記でも書いたが、新しいmac miniが出たら買ってやろうと思っているからだ。今回ではまぁ事前の噂もあり発表はされないだろうと思っていたが、万が一もあって見逃すことはできない。あと単純に、このいつもの発表会で機種ごとに流れてくるやたら金のかかってそうなプロモーションビデオを、しょうもね~と思いつつも楽しみにしている自分がいるからだ。僕たちから巻き上げているApple税を、どのような表現で華々しく散らしているのかを。
いやしかしまさか、楽器をポチったその日に、楽器をぐしゃぐしゃに潰されるビデオを見せられるとは思わなくて、妙な符合に笑ってしまった。願わくば、結局潰されるのと同じような扱いに終わるようなことにだけは、ならないよう…。
キーボードは予定よりだいぶお得に入手することが出来たのだが、いやはやしかし、円安。このままだとmacは予算よりだいぶオーバーすることになりそうな予感がして、とてもつらい。新型が発表されたところで、結局型落ちとなったM2 mac miniにするかもしれない。どうせなら新型(M4?)にしたいと思っていたのだが…まぁ、価格とスペックを見てから決めようと思っている…とか言ってウジウジしてたらM2も無くなっちゃうかも……ああ、全ては円安、円安が悪い。僕たちは、楽器と同じあの舞台に乗せられていて、ジリジリと何かにプレスされていく存在なのかもしれない。そういう暗喩だったのだろうか。