『ガザとは何か』

はいファイ
·

『ガザとは何か』を読んだ。

買ったのは結構前だし、これはすぐ読まなくてはいけない類の本だということは分かっていたし、すぐ読める内容量でもあったし、実際半分以上は読んでいたのだが、なぜかそのまま読みきれずにいた。本として文字量だけで言えば軽いかもしれないが、そこに書かれていることの重さ、現実に起きていることの惨忍さととてつもなさ、そしてこんなことが起きていたことを何も知らずに居た自分への苦々しさで、読み進めるほどに具合が悪くなってきた。その程度のことで目をそらしてはいけないのだが、では、目をそらさずに直視したところで、何が出来るのか?とはこれを読んだ誰しもが思ってしまうことだろうし、それをいつも考え続けるというのも一般の日本の生活者には難しい。だが、まず読んだということ、そして読んでほしいということを少しでも伝えることが、この、国家として、社会としてパレスチナから目をそらし続けている場所でまず一番に出来る、やるべきことなのかもしれない。

イスラエルがどのように建国されたか、パレスチナがなぜ今のように分断され追いやられているのか、シオニズムとは何か、反ユダヤ主義がホロコーストを生み出してしまった、その贖罪のような形をとって、なぜ今それがガザでのジェノサイドへ繋がってしまうのか。ハマースとは何なのか。なぜパレスチナに国際法が適用されないのか。なぜアメリカはイスラエルを支援しつづけるのか。それでいてガザへの人道支援も同時に行っているのはどういうことなのか…。イスラエル・ロビーとは。ユダヤ教とその地と血をめぐって。イギリスの二枚舌、三枚舌外交による発端と、現在も続くアメリカの二重基準。すべては政治なのか…。なぜX(Twitter)を覗けば、日本人同士がどちらかの陣営に分かれて罵り合っているのか……。

この本を読んだ後では、これらの言葉や日々のニュースに対して、よく分からないと目をそらすことはもう許されない。遠くの国のことと考えることもできない。日本に住み、税金を払って生きている以上、すべては繋がっている。つらい。こんなにも辛い気持ちになるのに、読んでくれと言わなければいけない。目をそらし続けた期間が長ければ長いほどより辛くなる、自分のように。

もっと早く読むべきだったのに、この本が出版されてから5ヶ月経っても、状況は大きく変わっているようには見えない。今、戦闘休止に向けた交渉が再開されたというのがニュースにはなっているが、いつものイスラエルのポーズでしかないという見方もある。終わらす気などないのかもしれない。ロシア・ウクライナの状況も然り、ずっと注視し続けるというのはとてもしんどいことだ。だから忘却したらいい、それよりも目の前のラーメンの値上げにだけ憂慮していればいいと、この国は、メディアは言ってくる。安全な場所で、生活の些細な苦しさへのあくせくに終始していたほうが都合がいいと考える人間たちがいる。歯を食いしばって、抵抗しなければいけない。こんなにも抵抗しないと、命も尊厳も守られない世界がある。