クリスマスらしさ、年ベスらしさ、お笑いらしさ

はいファイ
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公開:2023/12/25

- クリスマスらしさのこと

クリスマスだ。クリスマス自体をそんなワクワクしながら迎える人生ではなかったのに、それでもつい世間の浮かれモードに乗せられて、それっぽいことをしたくなってしまう。ちょっとテンションの上がるような何かを。

人生で一番クリスマスでテンションが爆上がりした思い出はなんだろうとなると、まず思い出せるのがマリオカート64を買ってもらったとき。あれはおそらく小学校6年生か。親からもらえるのは分かっていたが、クリスマス当日までお預けだった。もうこの家のどこかにマリオカート64がある・・・そう考えるだけで居ても立っても居られない気持ちになり、それを抑えるべくスーパーファミコンのマリオカートで気を紛らわしていた。もらった瞬間には心臓が破裂して死ぬのではないかというほどはしゃいだ気がする。分かってたのに。あれほど何かを楽しみにする瞬間というのがあの後あっただろうか。

大人になってもそんな気持ちの一端でも味わいたい…そういう思いが我々の足をケンタッキーまで運ぶ。KFCは、クリスマス臨戦態勢としてメニューを絞りながらも、バレル予約客と飛び込み客を華麗にさばいていた。クリスマスにはケンタッキーのチキンを食べたくなるというこの国の謎の風習に、すっぽりとサービス業態がハマって、もはやこの時期には独占状態という強さを感じた。すごいな…うまいな…と言いながらチキンを貪った。

- 年ベスのこと

チキンを食って腹一杯になったあと、しずかなインターネットの記事でチマチマ書き進めていた、年間ベストアルバム(通称年ベス)を発表した。恥ずかしい。これもムードに流されてやってしまうことの一種。ツイッターの音楽好きの界隈ではAlbum Of The Year(AOTY)と称してマイベストを画像で並べて発表する文化が恒例になっている。個人だけではなく音楽メディアやプラットフォーム側でも発表している。自分は全然ディガーではないので教えてもらうばかり。自分のラインナップを最終的に見ても浅いなと思う。それでも、年ベスが全く同じになるような人も居ないので、他のベストにはなかった音楽がちょっとはある、というだけでも、もしかしたら誰かにとっての発見になるかもしれない。そうやって繋がって広まっていくことの一片の結節点にでもなれたらいい、という思いで、恥ずかしさをこらえながらやっている。それもあって、意識的にサブスクにないアルバムは除外したというのもある。年ベスは、とくにメディアではなくツイッターで流行ってるような年ベスは「サブスクのお祭り」という意味合いが強いと思ったので。

ただ、やはりそうなるとサブスクにない音楽を知る機会がさらに遠のいてしまう。本当の意味での年ベスならば、やはりbandcampなどをもっとチェックし、ディグり、よりディープリスニングした上で、それを広めるためにAOTYすることにより、真に公共に利し、アーティストにも還元されるとなるはずだ。それ専門でやっているくらいの時間さえ・・・あれば・・・

なので、結局これは「現時点での・個人的な・思い出せる範囲の」ベスト?っていうかお気に入り?みたいな弱い注釈をつける必要に駆られる。「ベスト」という言葉の前では、そんな大それた決定的評価みたいなこととてもじゃないけどできねぇ~、でもあのその、あくまで、目に見える範囲での思い出程度で、宜しければ……という姿勢で、おずおずと出してしまう。

出した後でこんなこと書いてるのも恥ずかしい。結局最終的には、自分の振り返りのため、ログとして、つまりこの日記を書くのと同じ目的でやっているだけなのだ、ということにしてしまいがちだ。ただそれもやはり建前的だという声がする。やりたいんだからやっている。しかし本質的なことを考え始めると何もできなくなる。年ベスとは、そういう厄介さを内包しながら、それでもムードに流されながら、やりたい気持ち抑えられなくなってしまう類のものなんだろうなと思う。

- クリスマス・イヴは

一歩も外に出ないまま過ごすという素晴らしい日でした。ケーキを食べ(奥さんが手作りしてくれた)、音楽を聴き、パネルでポンで遊び(パネポンはガチ名作。スーファミ史上最高のパズルゲーム)、ビーフシチューを食べ、アニメを見て、M-1の決勝戦だけ見た。漫才のネタって、どういう頭で考えてるんだろうと不思議に思う。ネタを考えている時の頭の中は、どういう発火が起こって創造性が炸裂しているのだろうかと。自分がお笑いに疎いだけかもしれないが、他のクリエイティブと比べても、ずっとブラックボックスのままな気がする。それは芸人という特性上、真面目にネタを作っている姿なんて、ドキュメンタリー化され放送されてしまったら、それこそブランドイメージの毀損に繋がるからかもしれない。最後に一票も得られなかったあのコンビも、あんなに凝ったネタで面白かったのに。お笑いはものすごい速度で消費されていく。その刹那感さえも面白さの要素として。エンターテインメントの世界は厳しい。

そんなこんなで年末がやってきます。覚悟はできているか?