すれ違い始めていることには薄々気付いていたつもりだった。布の綻びが少しずつ少しずつ大きくなっていく様に、己らの間柄が空いてきていることに。何分仕事で自分の時間すら満足に取ることのできない彼のことだ。己との時間なんて。―――…………そんなこと分かっているつもりだったのに。「はは、あったかいですね」それでも、手にマグカップを含み満開の桜のように儚く笑う彼が隣にいてくれるだけでこんなにも心が充たされるのだからどうしようもない。情けない己の恋心をひたすらに呪った。haj1mar徒然に