「ときに大阪は好きなお方にどうやって好意伝えたらいい思いますえ」
「好きな人ぉ!?」
はたと動きを止め、目を丸くしてこちらを凝視する彼女が可笑しくて思わず笑みが溢れた。
なに狼狽えてはるん、大阪はほんまかわええどすわあ。
「ええ〜待って、好きな人できたん!? ほんまに? あの京都が!?」
「あの京都とはなんや」
「誰誰、訊いてええ? 丹波とか!?」
「違いますえ、それにあの人はすでにお相手いてはるやん」
「あっほんまや。あの二人仲ええからなあ、この前いじったったんやった」
てへぺろー、と陽気に舌を出す大阪に思わず笑ってしまう。ほんまに。
「あんたなにしてはるん」
「じゃあまさかまさかの東京!?」
「んな訳ないやろ」
思ったより冷たい声が出て自分でも笑ってしまう。すぐさま飛んできた大阪のツッコミにも笑えない。
ていうか東京さんも意中のお人おりはるやろ。せやし。そういうと彼女はまたもや驚いた声をあげた。
「えーっ待って知らんかったんやけど!そっちもめっちゃ気になるし!」
「ていうかうち好きな人がおるなんて一言も言ってまへんえ」
一度の空白が空き、沈黙、
「えっちょま、うち騙されたぁ!?」
「騙しておへん」
うちに好きな人おるとか一言も言ってまへんし。知り合いから相談されたから大阪にも訊いてみただけどす。そう言うとなんそれー、と明るい声を上げて笑う大阪とまたしがないじゃれ合いが始まる。あまりにも全てが可笑しくてつい笑い声が漏れた。
なんや知らんけど大阪とおるとほんに楽しいなぁ。
春の陽気が僅かに彼女の頬を上気させていた。