「……あ、雹」
もう何年振りか、とにかくひどく珍しく神戸の地に雹の花が散った。
(…綺麗やし珍しいけどちょっと怖いわぁ)
単純に危ないしな。ていうかもう春うららの気候やのに。そう思うと若干季節外れな気もして可笑しくなった。
もしかして雹はこの時期に降るものなのだろうか。あまり降雪に縁のない己には分からないものだが。
仕事終わりの夜はゆっくりできる。少々ここで時間を溶かしても構わないだろう。
珍しさあまりこの氷塊を写真に収めるべくスマートフォンを取り出すと但馬に播磨、丹波、淡路。通称兵庫戦隊の彼らからメッセージが来ていた。
やっぱり過保護な皆やなあ。
苦笑しながら通知欄から某有名メッセージサービスを開く。と、彼らからの通知でさぞ賑やかであった。
但馬の心配のメッセージをありがたく見ながら淡路のいいなあという可愛らしいコメントに笑い、播磨からのお仕事関連のメッセージに目を通す。丹波からは、今播磨の家におんねんけど雹すごいなあ、というメッセージが来ていた。
彼らの仲の良さにまた微笑みを浮かべながら手軽に写真を撮り、またにこやかな笑顔で帰路を歩いた。