(……眩し、)
目を開けるとそれはあまりにも眩しく、白に塗れた世界だった。寝起きの眼に朝日はあまりにも眩しい。
一糸も纏っていない素肌に直に当たる衣服の感触がひどく心地良かった。
んん、と僅かに唸りながら身体の向きを変え、彼が昨夜いたであろう向きを向くと彼はもうとうに起きていた様で。手をついて軽く起き上がりにこやかに微笑みながらこちらを覗き込んできた。
「越前!起きたぁ?」
「…………加賀、さま」
「そやさかいその様付けせんでええって」
「ほんなこと、」
あまりにも恐れ多いで。幾らこんな身近に愛し合う関係性になったはいえ、それは。
すると彼はぷう、と幼い外見に似合う動作で頬を膨らませた。
「……なん、昨夜はなんもつけとらんかったがに」
「ほぉんなこと言うてえんでそろそろ起きるざぁ!!!」
「ふーん? お顔真っ赤になっとってかわいいじー♡」
「な、何言うて、」
「じゃあ服着よまい♪」
くすくすと笑う加賀を熱い顔で見遣りながら目を逸らす。ほぉんなん知らんから。知らんで。脳内で唱えていると視線を感じた。
目を合わせたら、多分多分だめになってまうで。
――――………恥が、溢れる。
知らんふいを決め込んでいそいそと着物を羽織ると、ニマニマしていた彼が同じく着物を羽織ろうと衣擦れの音を立てながらぽう、とした顔でこちらを見た。
「越前、肌着一枚…ちゅうか白の着物もよう似合うね」
「ふふ、ありがとぉございます」
「ほい!」
そう言って身体ごと肌着の腰紐をこちらに寄せてこられた。
曲線を描く彼の唇が桃色に染まっている。
「ちょっこし、待って……」
「あんやとぉ! 越前のんも結ぶから動かんとってぇ!」
「ありがとうございます!」
「なん!」
そう言って、彼はひどく美しく、微笑んだ。
また、朝が始まる。