「今日も姫路城は綺麗やな、ほんま壮大やわぁ」
「せやろ!ゴールデンウイークやからか外国人とかちっちゃいお子さんもたくさん来てはってて微笑ましいわ」
満面の笑顔で誇らしげに天守閣を見上げ、周りの観光客等を見遣る彼に思わず笑みが溢れた。
美しい緑の芝生にただただ青く澄んだ空、眩しいほどの白い天守閣。
もうここに彼と来るのは何度目かわからないが何度見ても飽きない景色だ。ほんまに綺麗。
「せやな!あてらもはたから見ると仲良しカップルに見えるんやろか?」
スマートフォンを構えてお城の写真を撮る彼を発見したので軽く軽口を叩きながらそれをまた更に自分が撮るというおっちゃけたバカップルの様なことをしてみせる。
おっちゃけたバカップルというのは本当かもしれないが。
「何言うてんねん」
「あいてっ」
振り向いた播磨に軽く頭を叩かれて、二人で笑い合いながらそっと手を繋ぎ直す。するとどこからかもう何度目かわからない姫路城防災部門からの「只今大変混雑しています」というアナウンスが流れてきた。
天に聳える白鷺城はまだまだ真っ白く輝いている。