浅井いにお原作の『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』を観た。大西沙織さんが出演されていると聞いたので観たというくらいのモチベーションで、当然原作は未読だったのだがまあまあ面白かった。ただ、なんとかして一本にまとめられなかったものか。取り立てて視覚的・聴覚的特徴があるわけでもなく映画である必要性もあまり感じなかったので、配信のOVAとかでも良かった気がする。
未確認飛行物体「母艦」が襲来後浮遊し続けている非日常と、そんな東京での女子高生の日常が入り混じった世界。ドラえもん、aibo、3.11(ないし9.11)、核兵器(放射能)、戦争などなどわかりやすいオマージュや比喩が多々。
宇宙から来た異星人を「侵略者」と呼び、人間を守るという大義を掲げ迎撃用の破壊兵器を開発、地上に降り立った「侵略者」を駆除し続けるという戦争状態。少なからぬ人間の死傷者も出ており、それらはニュースとして誰もが知るところでありながら、ほとんどの人はそれを他人事として消費しており(カタストロフは「8.31」として記号化され、死傷者も数字化される)、主人公が楽しむ戦争ゲームと大差ない。主人公らの友人グループの一人が迎撃に伴う事故で亡くなってようやくその身近さに気づくが、時が経てばまたすぐに忘れ日常に吸収されてしまう。「人類はキモい」。
正義の正しさ、悪の正しさ。正しさとは何か。
どうやら終盤でのあの回想への入り方やそこでの主人公らの性格や出来事からしてマルチバースなのだろう。人類滅亡を示唆しているので、救出するのか個人(友人)を優先するのか、という結末なのだろうと予測してしまうが、果たして裏切られるのか。「本当の脅威は侵略者じゃなくて僕だってこと」というセリフがどう効いてくるのか。
フリップ・フラッパーズが全話無料配信されるらしい。
大好きなアニメで素晴らしい作品なのでまた注目されるといいなあ。一日一話ずつ配信して、最後に一挙配信するというスタイルが最高。「記憶を消してもう一度観たい」という表現があるが、この作品は逆に「記憶を消さないで何度でも観たい」と思える作品なので。髙橋ミナミさんは主演だし、大西沙織さんもキーキャラクターとして出演されている点も個人的に最高。