ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

hal9777
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気圧の変化で頭痛とだるさがとんでもない。やる気もでないし眠気もひどい。

そういえば、昨日のイベントで高柳さんが低気圧にやられるという話をしたときに、たかみなさんが「何でも気圧のせいにする人いない?」と言っていて、一部の客も笑って頷いていたがしんどい時は本当にしんどい。

ラランドの声溜めラジオを聞いていたら、推しとの距離感が近い人が多いという話から「友達じゃねえんだぞ」と面白おかしく釘を差していた。これも昨日のことだが、ちょくちょくトークに大きい声で相槌するように反応している人がいたなあと思い出した。こういうのが気になってしまうのも、配信で見たいなあと思う理由の一つでもある。まあ本気で友達と思っているわけではないと思うが。


引き続き、中村達『私が諸島である』を読んでいる。カリブ海思想が西洋的な存在論を拒否しつつも、個々の実存とその関係に軸を置いている点でナンシーと共鳴していて面白い。神話とアイデンティティ、世界の創造など他にも重なる部分が多い。

カリブ海文学とともに音楽への関心も高まっていて、今度はヴィム・ヴェンダースの『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を観た。ライ・クーダーがキューバの引退したミュージシャンを集めて欧米で大ヒットした同名バンドおよびアルバム、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのドキュメンタリー映画。

映画としてのストーリーというよりもメンバーそれぞれの人生を振り返るシーンと演奏シーンが繰り返されるだけなのだが、栄光と哀愁が混じり合っていて得も言われぬ感情になる。

一方で、西洋の植民地主義に抵抗するカリブ海思想の観点からすると、バンドの結成からその成功、そして映画まですべてが西洋的。キューバのミュージシャンは歴史から忘れられた存在であり、それを西洋が発見する。彼らは西洋にとっての他者で、ライ・クーダーやヴィム・ヴェンダースのような西洋の権威が判を押すことでようやく認められた存在となる。キューバ国内では彼ら以外にも多くの素晴らしいミュージシャンがいて、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブは真新しいものではなく、世界的な成功とは裏腹に大きなムーブメントにはならなかったそう。

私自身、キューバ音楽やミュージシャンをこれで知れたし良い作品でもあるのだが、帝国主義的なものの根深さを痛感した。

@hal9777
「誰でもよい、だがほかならぬあなたとともに生きるための言葉を投げつづけなければならない。」伊藤潤一郎『「誰でもよいあなた」へ ― 投壜通信』(p.146)