教皇選挙

はなかがり
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公開:2025/4/6

「ジジイが揉めてる映画」と紹介されたので見に行ってみた。

冒頭から関係ない映画の話をして申し訳ないが『落下の解剖学』を見に行ったとき、普通のミステリかと思ったら法廷劇がひたすら続いて少ししんどかったので、似たようなものかと思ったらそんなことはない。

あらすじは、ローマ教皇が死んだので次の教皇を決めるために「コンクラーベ(教皇選挙)」が行われる、その一部始終を描いた2時間である。

カトリック教会の頂点である教皇選挙は、権力闘争の最高峰。駆け引き、派閥争い、不正……。

主人公はコンクラーベの運営を任されたジジイなのだが、既に書いた通り、教皇選挙は多くの人間の思惑が錯綜するイベントだ。そんななか、主人公は中間管理職の大変さをすべて背負わされており、超不憫で可哀想なおじいちゃんである。あと、気弱そうな割にそれやっていいの!?みたいなことをする魅力的なおじいちゃんだ。

しかし、この作品は、インターネット的なウケる文言で語るには勿体ない。何点か、見る手助けになりそうなポイントを書いておく。

・教会はジジイばかりの世界であり、多様性からは程遠い。その中でも特に忌避されているものは何か?

・選挙では、枢機卿だけ一部屋に隔離される。密室とその外側の世界の対立として把握すると理解しやすい。

・傘の色が冒頭は黒、後半は白になる。これは何を表しているのか。

全体的に非常に分かりやすく、荘厳な空間と音楽の響きの中で年寄りが揉めているギャップは俯瞰するとクスッとなる。劇場が限られるので強い意志が必要かもしれないけれど、機会があれば逃さないのが吉です。