5月9日

はなかがり
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20年近く使っている櫛をなくしてしまったかと思って探し回った。昔母からもらったつげの櫛で、あまり手入れもしていないが割れもせず使えている。ただ、この櫛はよく見当たらなくなる。私の管理の問題ではあるのだが、いつも今回こそなくしたかと思ってしょんぼりしているとひょっこり出てくる。今日はリュックのよく分からない部屋の中から出てきた。

20年も一緒にいて、さらには女の髪という呪詛のこもるものを日々梳いた櫛は、私にとってはもはやただの櫛ではない、少し魂を分け与えたような存在になっている。