物心がついて最初にそのシリーズに触れたのは、まだ小学生にすらなっていない頃。兄妹のように仲の良かった父がプレイしていたファイナルファンタジー7が私の中ですべての始まりだった。
それまでも父がゲームを遊ぶのを隣で見ていることは多々あったが、デフォルメされた二頭身のイラストではなく、ぬいぐるみのような立体感を持ったキャラクターたちがそれぞれに意思を持っているように動いて、話して、ドラマを紡ぐ様が私にはとても新鮮だったのだと思う。正直なところ複雑で重厚なストーリーは何も理解できていなかったのに、日課のように父がプレイするのを心待ちにして、じっと見入っていた。
私が学生になってからも父はFFシリーズを変わらずリアルタイムでプレイしていたし、私も変わらずそれを攻略本片手に隣で見ていた。実家を離れて父と離れても、私のFF好きも特に変わることなく、何ならまだ生まれてすらいなかった時代のFFからプレイ動画を見漁った。キャラとストーリーと音楽に関しては、全シリーズをリアルタイムでプレイしていた父すら唸らせる知識量だった。
今じゃファイナルファンタジーも16作品――残念ながら最新作はハードの問題で遊べていないが、亡くなった父の遺志の一つだと思っているので、いずれは必ずプレイしたいと思っている――シリーズ通して好きなキャラクターはたくさんいるのだけれど、今回はとりわけにハマったキャラの中でも、昨日までの自分の話に関連してると思った2人の女性キャラを挙げたい。
まずは13の主人公ライトニング。ナンバリングシリーズ史上2人目(6に関しては諸説あるけど)の女性主人公にして、ヴィトンだのプラダだの、リアルハイブランドとのコラボが妙に印象的だったお方。自分で道を切り開けるだけの強さを持ち、それ故に他人にもスッパリ厳しい所もある、今でもカッコいいの筆頭だと思う女性キャラだ。
そしてもう1人が、外伝作品 零式の主人公の1人サイス。主人公の多い零式においてとりわけ目立つキャラではないが、口を開けばドライで粗暴な歯に衣着せぬ物言いに、おっかないヤンキーお姉さんという印象を抱いていた人も多いだろう。実力に裏付けされた自信と確固たる意志を持って表れる強気な態度をカッコいいと感じていた。
この2人、どちらも作中においては序盤から確固たる自分の意思を持ち、それ故に早い段階で仲間とぶつかったり、突き放したりする言動を見せる。(ライトは理想論と綺麗事ばかりを語るスノウを怒鳴って殴り飛ばしたし、サイスは最序盤の会話イベントで実力を示せ、甘えた考えは捨てろと言い放ってくる)
言い換えれば、どちらも「波風が立つこと」「他人と衝突すること」を厭わず、「自分の本音」をストーリーの早い段階(メタ的に言えば、プレイヤーがまだゲームに馴染み切っていない段階)でぶつけてくるキャラである。
なるほど、自分が惹かれるわけだ。この人たち、自分にはできないこと、意図して封印してきたことを平然とやってのけるのだから。羨ましい、とも思うのかもしれない。――言いすぎだろぉとかそんな言い方しなくてもいいじゃんさ、とか思う自分もいるけれど笑
思えば、彼らの長い長い旅路の中で物語が大きく動くときはいつだって、誰かとの衝突があって、理想と現実の狭間に揺れる葛藤があるもの。
私も「何者か」になるために、ほんの少しでも何かぶつかりに行ってみても良いのかも。ぶつかりに行くために、折れない本音と意思を見つけないと。