Deviantartのトップページに作品が載った

haru
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DeviantARTという老舗のイラストコミュニティサイトがある。調べたら設立は2000年らしい。私は2009年ごろから登録していて、学生の頃から描いていたイラストがほぼ全部残っている。前の辰年のときの年賀イラストもある…。

2017年にはWIXに買収され、私の記憶ではそれと前後して作品でマネタイズするためのシステムがいろいろと導入されたように思う。最近は自前のAIイラスト作成サービスを始めており、AI画像で商売をするユーザーも多い。なので正直なところ、個人的には以前ほどはたのしめる場所ではなくなってしまったという印象がつよい。それでもユーザー数自体は増えているのか、意外と作品を見てくれる人が多いので投稿を続けてはいた。

(ついでに私のAI絵へのスタンスを書いておくと、実はAIによるイラスト生成技術自体への嫌悪感や、自分の作品が学習元に使われたりすることへの抵抗感というのはそれほどない。自分自身も人の作品を参考にするからだ。どちらかというと人間の側のAIの受け取り方の一部に不気味さを感じているというか、「人間が描くよりAIの方が見栄えのする画像が速く出せる」といった形で人の描く絵の価値が低く見積もられることや、もっというと「人間の創造性」と「AIによるコンテンツ生成」を安易に並置することで〈人間〉の概念を機械の一種にまで縮減するような考え方が広まることへの厭悪の感情がある。また、AIを口実にして企業が労働者の業務の密度を上げつつ給与を安く抑えようとする動きが出ることを警戒している)。

閑話休題。このサイトではDaily Deviationといって、コミュニティ運営担当のユーザーがチョイスした作品がトップページに表示されるシステムがある。昨日は私が11月に投稿したイラストが選ばれていて、かつて見たことがないような数の通知が来ていた。こういうのには一生縁がないだろうと思っていたので「おぉ、絵でバズるってこんな感じなのか」とおどろいた。SNSのバズとはまたちょっと違い、推薦してくれた担当者がいたというのは本当にうれしいことだし、普段私の作品によくコメントやお気に入りをくれる人がお祝いのコメントをくれたのもうれしかった。

ただ一方で、そこから自分の作品を遡ってお気に入りしてくれたり、自分のサイトや他のSNSまで見に来てくれる人というのは割合として非常に少ないなということも実感した。作品にそこまでのエッジや引力がないというのももちろんあるけど、大きなプラットフォームでの「バズ」はやっぱりその内部だけで完結してしまいがちかも、と思う。過去に「イベントまで来て同人誌を購入してくれるのはだいたいTwitterフォロワーの1割くらい」という話も聞いたことがあるし。

うちのサイトはSquarespaceのサービスを使っていて、スモールビジネス向けのわりと詳細なアナリティクスがついている。「全然知らない国から見に来てくれてる人がいる!」とかが楽しいので時々眺めてるんだけど、最近はしずインから来てくださる方がかなり多い。そういえば先月は本も1冊売れたんだけれど、買ってくださったのはマストドンのフォロワーさんだった(けっこう遠くの州に住んでる人で、お正月前に「無事に届いたよ!」とDMをくださった)。こんなふうにいわば「遠く」まで作品を見に来てくれる人が非営利系のプラットフォームにもいる。母数が小さい分割合としては高いかもしれない、ちゃんと計算してないけど…。

大きなプラットフォームで多くの人に見てもらうのも楽しいし気分がいいけど、個人で継続的に活動していく上でいちばん支えになるのは、やっぱり遠くまでやってきてくれる人の存在だと思う。

@haru
イラストと漫画を描いています。 harukakanata.squarespace.com