絵の上手さとはなんぞや

haru
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SNSだとイラストの上手い人が「私は下手だ」と言ってるのをわりと見かける。「上手さ」の基準が明確じゃないと描いても描いても上手くならんという気持ちになっていくよな…と思ってここ数日、自分なりに目指すべき「(とくにキャラクターメインのイラストやコミックアートにおける)上手い絵」って何だろうなとぼんやり考えていた。

一番参考になったのが水彩画家であるかれはさんのブログ記事で、ここでは「上手さ」の要素が「描写力」「色彩」「構成」の3つに端的にまとめられている。この3つの視点から、各人が(あまりしんどくならずに)描きたい絵を描くにはどういうアプローチを取ればいいかが丁寧に解説されている。一次創作民必読の記事といってもいい。

絵の上手さって何だろう?3つの要素で考えてみた!-枯葉庭園-水彩読本

いっぽう、私が「上手さ」という点で個人的に衝撃を受けて「こんなふうに描けるようになりたいな」と強く思ったのが、イラストレーターIKKIさんの作品だ。

https://ikki.ru.com/

キャラクターの身体描写に非常に魅力がある。骨格の理解が正確で、かつ描線がしなやかだ。ヨーロッパの複雑な建築物を正確に描ける人でもある。この構造的一貫性(デッサンとパース=描写力の部分)と、しなやかでなめらかな描線や画面の流れ(どちらかというと構成の部分)を両立できているところに強烈な「上手さ」を感じる。

キャラクターイラストやマンガだと(なんとなく青年漫画にありがちな気がするんだけど)、人物造形のデッサンが正確で、かつそこはかとなく角ばっていてメカっぽいという画風がある。それはそれで魅力だし、特にマンガの場合は画面が見やすくなるので良いと思うんだけれど、私自身の好みとしてはもうちょっと流動的な描写が好きだ。でもそれを自分でやろうとすると、骨格と筋肉の理解が浅いため、なんだかいまひとつ骨がないような奇妙な印象になる。IKKIさんのように、しなやかな流れのなかに構造性を感じさせるような造形が表現できればいちばんいいと思う。

あと1枚絵のなかにストーリー性を込めるやり方とか、色彩のコントラストを効かせるとか、工程を合理化する(手戻りを減らす)という水準での上手さとかも考えているんだけど、長くなるのでたぶんまた別の機会に書く。

@haru
イラストと漫画を描いています。 harukakanata.squarespace.com