2025年の活動、イラストレーションとマンガと本作り

haru
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公開:2025/12/8

この記事はFediverse創作展示会、8日目の展示です。

自己紹介

はるかかなたです。普段はMastodonのシングルユーザーインスタンスMisskey.designにいます。大阪府北部の出身ですが、2020年の秋からオレゴン州ポートランドで暮らして5年になります。5年だよ。今自分で書いててびっくりしたわ。

ファンタジーというか、架空世界の神話と変身譚というコンセプトで漫画とイラストをやっています。日本とは異なりアメリカでは良質な同人印刷屋さんが非常に少ないのと、ポートランドはもともとZINEカルチャーが盛んでいろいろと手作り本の発表の場があるということで、2023年から自分の作品を手製本でまとめるということを始めて、少しずつ活動範囲を広げているところです。この記事では今年作ったものを紹介します。

イラスト

今年はなんだかずっと水彩の練習をしていた気がします。水彩は大量の絵の具や大きなアトリエがなくても、小さなスペースと少量の画材から始めることができ、それでいて表現の幅がとても広く、また偶然性を排除するのではなく受け入れることで魅力が出るメディウムだと思います。紙の上で絵の具がどう反応するかに合わせて水の割合を変えたり、筆を変えたりと、画材と対話しながら進めていく時間がとても好きです。

イラストの本

去年から今年の初めにかけて描いた作品は本にしました。去年のクリスマスセールで Canonの10色インクジェット顔料プリンターを買い、(ImagePROgraf PRO-300、多分同社の大判プリンターの1番小さいやつですが、今年には後継機種が出て廃盤になったっぽいです。インクは引き続き入手可能)、一応自分でできる限り色校みたいなこともして、原画の質感ができるだけ維持されるようにしています。

各ページを見開きで印刷して貼り合わせる、ドラムリーフバインディングという製本手法で作っています。

マンガ

3月から『この世の美しいものすべて』というマンガを描いています。半妖の王子と騎士と若い王の三角関係の話。60ページ程度のネームなんですがこれがまた全然終わらない。最初は夏頃に終わらせるつもりだったんですが。全3部構成で、第2部まで書きました。

第1部はパンフレットステッチという手法で製本して、初夏に大阪に帰省した時、関西コミティアに持って行きました。

関西コミティアは前日設営から参加しましたが、たいへん楽しかったです。友人の手伝いで売り子は何度かしたことがありますが、自分の作品を持っていくのは初めてでした。印刷会社のピシッとした製本ではない、いわば素人が作った本って受け入れられるんだろうか…と実は戦々恐々としていたんですが、面白がってくださる方もいてとても嬉しかったです。来年は最後まで描いて持って行きたい。

作品を対面で売る

ポートランドでもぼちぼちイベントに出ています。秋にはイラストやZINE特化ではない、オールジャンルの手作り市的なイベントに参加しました。

これがすごくいい経験になりました。日本とはかなり違う点だと思うんですが、アメリカのコンベンションやイベントでは作家がプリント(複製原画)を普通に売り、またそれを気軽に買う人がいるんですね。日本でペライチの複製を「作品」としてイベントで頒布することは珍しいし、ポストカードにする場合が多いんじゃないでしょうか。

というわけで、複製でも一応、作品に合う紙を選んで色校して、IKEAのいちばん安いフォトフレームだけど額装もして並べておくのですが、意外と買ってくださる人がいる。ものは試しに、と小さな原画も持っていったんですが、これも意外に売れる。こんなどこの馬の骨とも知れない人間の絵を買う人なんかいないだろう、と思っていたので、初めて売れた時はびっくりしました。

これ。テキサスから旅行で来たという人が「うちの子に似てる! 買うわ!」と…ダンジョンズ&ドラゴンズの自キャラが角っ子なんだそうです。オリジナルキャラクターやファンタジーの世界観をこね回すのが好きなタイプのオタクとしては、同類のオタクに自分の作品を気に入ってもらえるのがいちばん嬉しい。

他には手作りのノートやステッカーを作って出品していました。(会場写真に写り込んでいる人の顔はわからないように加工しています)。

そもそも今のアメリカは人々の経済状態も政治情勢もかなり悪く、イベントにたくさん人が来るとかすごく儲かるということはありません。でも、赤字や在庫が負担になるということのないよう、できる範囲で少しずつ作って持っていくことができるのが自家製作の強みです。またこんなご時世だからこそファンタジーが必要、という人もいます。自分の作ったものを自分で売るというのは密かな夢でもあったので、できるだけ続けて行きたいものです。

コラボ

Fediverseの縁で、全作品がCCライセンスというオープンカルチャーコミック誌 Fodongoに寄稿させてもらっています。今年はカラー版のアンソロジーの表紙を描かせてもらいました。天から降臨してるのはマスコットキャラクターのLa Rana(カエル)。自分でも気に入ってる1枚です。

あとはケール・ジェフリーさんの同人コミック『1989年の恋人たち』の日本語訳をさせていただきました。トランスジェンダー男子xミステリアスなサラリーマンのラブコメで、すごくチャーミングだし、インターネット以前の日本のアニメ文化に関する解像度が高い(ケールさんは日本語ができるし、なんなら私より漫画に詳しいです)。来年には第3巻が出る予定なので、私自身もとても楽しみにしています。

おわりに

長くだらだらと書いてしまいましたが、こうして振り返るとなんかひたすら人に恵まれた1年だったなと思います。あれこれ色々やっていましたが、イベントの搬出入や店番を手伝ってくれた家族、技術面での助言をくれた絵描き仲間や地元のアーティストの人たち、依頼をくれた人たち、安価で参加しやすい発表機会を用意してくださるイベントスペースの人たちや日本の同人イベント運営の人たちの存在なしには何にもできなかったので。

自分のように野良でものを作っている人間にとって、中小規模のイベントや独立系書店・独立系出版社、小規模な雑誌やアンソロジー、ZINEディストロ(委託販売)グループなどは、いわば創作のためのインフラです。そして(日本は言うまでもなく、こうした独立系の活動が非常に盛んなポートランドでさえ)、その維持や運営はしばしば非常な労力、お金、神経を使い、かつ実入りの少ないものになりがちです。本作りとイラスト作りのスキルを上げつつ、今後は少しでもそういったインフラ側の活動へのお手伝いやお返しができれば、と思っています。

そしてこのアドベントカレンダー企画も、貴重な発表と交流の機会のひとつです。最後になりましたが、主催のノキさんに感謝を申し上げて、本記事の結びとしたいと思います。

@haru
イラストと漫画を描いています。 harukakanata.squarespace.com