10年ほど前に亡くなった祖母が夢に出てきた。
空き家でボロボロになった祖父母の家に行くと祖母の声がした。信じられなくて涙があふれて、どうしてここに、と言った。祖母が微笑むと私は手を伸ばして祖母の手を握った。あたたかい手の感触があった。祖母が亡くなってからも祖父母の家の写真を撮っていたので、「あんまりみっともないところ撮らないでよ」と言われた。やっぱりここで見ていたんだ、と思った。私が何か言って祖母の方を見ると祖母は消えていて、言葉を失った。祖母が消えたからというより、自分もいつか消えてしまうんだ、と当たりまえのことに打ちのめされた。
朝起きて夢の内容を思い出していると、自分のただの妄想かもしれないけれど、貴重な機会だった、と思った。あたりまえのことをすぐ忘れてしまうので、どうかこれからも撮らせて、ばあちゃん。